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「森田、彼氏いたんだ？」
「いえ、いないです」
即答したはいいものの、いないのに朝帰りってもっとふしだらなんじゃない？と思ったが遅い。
「え？いないのに何やってんの？」
眉をひそめて聞いてくる。
「菊池主任には関係のないことなので。では失礼します」
そう言って脇をすり抜けたが、ぱし、と腕を掴まれた。
「相手、会社のやつ？」
なんでそんな雰囲気が刺々しいの？
そんな聞かれ方されたら違うって言うに決まってる。
まぁどんな聞かれ方してもそうですなんて言えないけど。
「ほんとに、そういうんじゃないんで。腕離してください」
仕方なく振り向きそう言う。
「お前、付き合ってないのにそんなことしてんの？」
腕は離してくれなかった。
早朝で人は少ないと言え、往来でこんな話…
「菊池主任が想像するようなことしてませんから」
掴まれた腕を見ながら言う。
半分本当だ。
だって別に体の関係を持ったわけではない。
キスはしたけど。
「そういうことやってっと、辛くなるぞ」
どこまで私が違うと言っても、彼は私がそういうことをしたんだと思っているようだ。
「そうですね、わかりました」
そういうことはしていないとどれだけ主張しても彼に示せる証拠もないわけで。
私はめんどくさくなって、そう答えた。
「もう、いいですか？私帰ります」
「今日仕事？」
「いえ、休みです。菊池主任は早く家に帰って仕事の準備して下さい」
「まだ全然時間早いから。それ。うちで食べたら？
朝ごはん。俺ん家近いから」
「大丈夫です。主任の家行くなんて、それこそ意味わかんないんで」
「ちょっと話したいんだけど」
「すみません。あんまり寝れてなくて。帰って寝たいんです。お気遣いありがとうございます」
「寝れてないって…お前…」
やっと腕が解放された。
「では、また会社で。失礼します」
上司相手に失礼なのは百も承知だったけれど、この場から早く立ち去りたかった。
タイミングというかなんというか。
早い時間の電車はラッシュと被らないから良かった。
シートに座るとうつらうつらしてしまう。
今回の件は私たちが口に出さなければバレることはない。私はそんなこと誰にもペラペラ喋らない。
中島主任はどうなんだろう。
口が軽いようには見えないけれど…
中島主任が赴任してから、私の心は目まぐるしく動いていた。
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にこ(プロフ) - こたさん» コメントありがとうございます！今回は内容的に心配要素が多いので、応援の言葉が沁みます😭ありがとうございます。引き続き楽しんでもらえるよう頑張りますので、よろしくお願いします！ (2022年6月20日 12時) (
レス) id: 719bc577fe (このIDを非表示/違反報告)
こた(プロフ) - はじめまして！にこさんの描くお話がすごく好きです🙇♀️陰ながら応援してます！更新楽しみにしてます💙 (2022年6月19日 22時) (レス) id: 3b0c2534bc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：にこ
| 作成日時：2022年5月29日 21時
