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いやいや、おかしいよ！と全力で叫ぶ自分と、
もうしてもらったらいいじゃん、と冷静に言う自分がいた。
きっとこれはもてあそばれている。
付き合ってないけどキスしようと誘われているのだ。
最低な誘いなのに、恋愛慣れしていない私は
彼の一挙手一投足にドキドキしてしまっている。
このドキドキが恋じゃないというには無理があった。
ファーストキスは、ちゃんとお互い好き同士の恋人としたかった。本当は。
でも、もういいじゃない。今で。
ここで断ってもし一生、流石にそれは無いと思いたいけど、でもこれからも男性を知らずにどんどん歳をとってしまって…そうなるぐらいなら今経験してたがよくない？
たかがキスだ。
もう無垢な学生でもないんだ。
ファーストキスなんてさっさと捨てちゃえ。
「はい。じゃあ主任がもらってください」
「健人」
「え？」
「健人って呼んで。せっかくだし」
「健人…さん？」
「さんかよ。まぁ主任よりマシか」
彼の手が顎にかかる。
「言質はとったからな？」
唇が触れ合った。
目をつぶって、とか言われなくても自然と目はつぶるんだな。
初めてで、誰からも教わってないのに。
すぐに離れるかと思っていたら下唇をはまれた。
あ、これは知らなかった。
舌を合わせるやつじゃなくて、こういうキスもあるんだ…
ていうか、健人のけんだったんだ。
けんてぃーって二宮店長だけが呼んでるのかな。
キスは初めてであんなにドキドキしていたのに
私の頭の中は言語に溢れていて冷静だった。
ファーストキスだけどイチゴの味もレモンの味も全くしない。
当たり前だ。イチゴもレモンも食べてないんだから。
歯磨き粉のミントの香りがするくらい。
歯磨きは済ませておいてよかったなどと現実的なことを考える。
「これがキスだよ」
唇を離して彼が言う。
「あ、はい」
と初キスの後とは思えない間抜けな返事をしてしまう。
「どうだった？」
「これがキスかぁ。と思いました」
「ふは。冷静だね。いいね」
彼のいいねは、すごく軽妙で少し上から目線だ。
その返事気に入った、と言われているよう。
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にこ(プロフ) - こたさん» コメントありがとうございます！今回は内容的に心配要素が多いので、応援の言葉が沁みます😭ありがとうございます。引き続き楽しんでもらえるよう頑張りますので、よろしくお願いします！ (2022年6月20日 12時) (
レス) id: 719bc577fe (このIDを非表示/違反報告)
こた(プロフ) - はじめまして！にこさんの描くお話がすごく好きです🙇♀️陰ながら応援してます！更新楽しみにしてます💙 (2022年6月19日 22時) (レス) id: 3b0c2534bc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：にこ
| 作成日時：2022年5月29日 21時
