検索窓
今日:5 hit、昨日:11 hit、合計:50,257 hit

39 ページ40

+



お会計が終わり2人揃って外へ出る。
特に先ほどと変わらない雨足だ。
雨宿りの意味、なかったな。
そして駅に行っても意味ない。電車出ちゃってるし。
タクシーか…家まで結構遠いのに…
映画館は家と反対方向の場所だった。


「タクシー拾いますか?」


「ホテル行こうか」


「………。はい?」



脳が言葉の意味を処理するのに時間を要した。
一体何言ってるの?この人。


「すぐそこだよ」
バーのさらに奥の路地を指す。
少し離れたところにそれらしいネオンが見えた。

え、ほんとに言ってる?あれってあれじゃん。
もちろん私は行ったことないけど!
そういうコトする場所じゃん。
中島主任おかしくなっちゃった?


「えっと…主任どうしたんですか?
言ってることおかしいです」

「おかしいかな?
帰る手段がなくなって、家から遠いとこにいるから、泊まらない?って提案してるだけだよ」

いやいや。だけだよって。
おかしいですやん。


「森田さん、明日休みでしょ?俺は早く起きて出勤するよ」

「そんなこと…」


「俺のお願い聞いてくれるんじゃなかったの?」
少し笑って言われる。


酒代の対価がホテルって、どう考えても釣り合わなくない?



「じゃあいいよ。俺はタクシーで帰るつもりないからひとりでも泊まっていくよ。
森田さんはタクシー捕まえたら?」
そう言って背を向けられる。


「まって!…ください…」


彼の腕を掴む。
彼が振り向いた。

引き留めたけど、私も行きたい、とか言うの、どう考えてもおかしいでしょ…

黙っていると彼が私に一歩近づき口を開いた。



「ごめんね、意地悪だったね。
大切な部下なんだから何もしないよ」


「そう、ですよね」

よく考えたらその通りだ。ただの同僚なんだから。
ひとりで意識していたみたいになって、それもまた恥ずかしい。


「じゃあ、行こうか」


とりあえず掴んだ彼の腕から手を離す。
が、逆に彼から手を握られてしまった。


「え…」

「俺に寄って歩いて。じゃないと濡れる」




彼の右手には、折り畳み傘が握られていた。




+

40→←38



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.5/10 (76 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
208人がお気に入り
設定タグ:SexyZone , 菊池風磨 , 中島健人
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

にこ(プロフ) - こたさん» コメントありがとうございます!今回は内容的に心配要素が多いので、応援の言葉が沁みます😭ありがとうございます。引き続き楽しんでもらえるよう頑張りますので、よろしくお願いします! (2022年6月20日 12時) (レス) id: 719bc577fe (このIDを非表示/違反報告)
こた(プロフ) - はじめまして!にこさんの描くお話がすごく好きです🙇‍♀️陰ながら応援してます!更新楽しみにしてます💙 (2022年6月19日 22時) (レス) id: 3b0c2534bc (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:にこ | 作成日時:2022年5月29日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。