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いつものように電車に乗る。
座席の空きはまばらだけど、並んで座るところが微妙にないので立つことにした。
私はドア横の手すりにつかまり立ち、主任はドアに体を預けて立っている。
近い。立つ位置絶対近いと思う。
「梅雨になるねー」
まだ雨は本格的に降ってはないが、湿度が高い日が続いている。
「そうですね。雨は通勤もおっくうで嫌です」
「だなー。髪は?セットに時間がかかる?
雨だと湿気で大変だって聞くけど」
私のおろした髪に触れながら言う。
「いえ、あんまり…くせっ毛ではないので…」
「そっか」
この人なんでこう触れてくるの?
私の髪に触れる彼の手を掴む。
「主任。こんな触れたり…おかしいです」
公共の電車なので彼に聞こえるぐらいの声で非難する。
「あーかわいい」
勤務中には見ないような意地悪な顔してくすくす笑って言う。
「一駅乗り過ごして俺の家にこのままくる?」
「いかないです!んむ」
人差し指が私の唇を押さえている。
「声大きいよ」
そうだ、電車だった。
彼の指が唇から離れる。
周りを見回してみるも誰一人私たちを見ている人はおらず、寝ているか音楽を聴いているか、スマホに夢中だった。
「東京の他人に興味ないかんじ、久々だなー」
と彼も辺りを軽く見て言った。
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にこ(プロフ) - こたさん» コメントありがとうございます!今回は内容的に心配要素が多いので、応援の言葉が沁みます😭ありがとうございます。引き続き楽しんでもらえるよう頑張りますので、よろしくお願いします! (2022年6月20日 12時) (レス) id: 719bc577fe (このIDを非表示/違反報告)
こた(プロフ) - はじめまして!にこさんの描くお話がすごく好きです🙇♀️陰ながら応援してます!更新楽しみにしてます💙 (2022年6月19日 22時) (レス) id: 3b0c2534bc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:にこ | 作成日時:2022年5月29日 21時