僕らは顔が見えない。 (ページ5)

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と、言う事である。
服装は普通に浴衣なんか着ているわけないだろう。
黒のTシャツにグレーの短パンである。

「さてさて、りんご飴どこに売ってるの？」

「もう少し行ったところ」

「了解」

手を繋いで、彼女を連れて行く。
なぜ手を繋いでいなければいけないのだろうか。
意味がわからない。

「着いた」

「オッケー、りんご飴ください！」

「りんご飴一つだな！ちっと待ってろ」

僕は辺りを見渡しながら、彼女を待つ。

「お待たせ、花火見えるところに移動しよっか」

なんて、言われて、僕はそれに着いて行く。
彼女は本当は目が見えているのではないか。
そんな疑問がふと浮かび上がる。

「ねぇ、」

「んー、なぁに？」

「目、本当は見えてるんじゃないの」

「あー、バレた？」

本当らしい。
テヘッみたいなポーズをして、
歩き続ける。

「私は、目が見えないと言っても、
人も、景色も、全部白黒で、だから、
目が見えない。物によっては白が強すぎて見えないから、見えないって言ってたの」

「盲目少女、じゃないのか」

「そうだね、そうなる！」

自分で、言ったくせに、元気よく言う彼女に腹が立ってくる。

ﾋｭｰﾄﾞｰﾝ

花火の音がする。
おっきな花火だった。
僕に広い心を持てと言っているように、感じた。

綺麗だった。