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『失礼します、Aでございます。』
「入れ。」
ドアを開ける。
ここは丸っこい目が特徴的なデズモンド家次男のダミアン様の部屋である。なんとも高そうな椅子に腰掛けているものだ。
「A、紅茶をくれ。」
まだ幼い子供だと言うのに偉そうな口調とは、地位のせいなのか彼なりの見栄なのか。
『かしこまりました。ダージリンで宜しかったでしょうか?』
「うん…、ではなくて、あぁ…。よろしく頼むよ。」
…見ての通り見栄である。少しばかり可愛いと感じる。
しかし私は任務の為に接している立場。
私情など持ち込まないのが身のためである。
「な、なぁ、A。」
『どう致しましたか?』
「そ、その。来週から寮生活になるわけで…えっと、離れ離れになってしまうから、これ…あげる。」
ダミアン様がソワソワとしながらおぼつかない様子で手を差し出してきた。
ダミアン様からの贈り物は小さなクマのキーホルダーであった。
黄色とくすんだ深緑がベースとなっていて、ダミアン様を連想させるのに十分な要素であった。
『ダミアン様…』
「そ、その。、別に寂しいとかそんなのではないが…Aが俺の事忘れないように…」
『ありがとうございます。本当に私は幸せ者です。
大切にします……。』
任務と分かっていても多少の思入れはしてしまう、ダミアン様は「強盗」などの犯罪行為とは無縁に育って頂きたい。
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ココアちゃんだよん - 面白いです!更新頑張ってください! (2022年9月9日 22時) (レス) @page3 id: d0534e1594 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:田中太郎 | 作成日時:2022年8月9日 20時