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飯を目の前にしておいしいごはん!?と目を輝かせて、お姉さんに囲まれては嬉しそうにはしゃいで、次はどこへ行こうか、アリババくん?とわくわくして聞いてくる友はここにはいない。
アラジンも琥珀も、一体どこへ行ってしまったというのだろうか。美味い飯も豪華な宴会も、あの小さな友人がいなければ全然意味がない。
──────まさか、死んで──────
アリババが最悪の事態を考え顔を青くしていると使用人が客が来た、と呼ぶ。
「アリババ様に会いたいという、子供が……」
「────!!」
アラジンか、と思いばっと顔を上げる。涙を拭いながら階段を駆け下り、使用人が慌てて追いかけてくるのも気にせずにアリババはドア目指し一直線に走る。
「なんだよ、やっと帰ってきたのかよ……!」
ただいま!アリババくん!!となんでもない顔で挨拶をする友を想像して、思い切りドアを開ける。
「おかえり!!アラジンッ……
──────あ」
ドアの向こう側には想像していた青い髪とは対照的な、赤髪の少女が立っていた。
◇
「どうしてあなたは財宝の半分をも使って、私たち屋敷の奴 隷を解放したんですか?」
解放された瞬間からずっと思っていた疑問をぶつける。
アリババはなんでもないように、あいつならこうしたよなって思ってさ、と答えた。
少し間があって、あれからどうしてるんだ、と逆にモルジアナに聞く。
「……解放された奴 隷たちは身の振り方が決まるまで、新しい領主様の元でちゃんと賃金を貰って働いています。新しい領主様はいい人で。解放奴 隷たちは皆、あなたに感謝しています」
「そうか、よかったな!」
「……その。恐らく、私も、物心ついて以来初めて、足首から枷が消えた時に、息を呑むような気持ちが込み上げてきました。私も感謝を……しているんだと思います。あなたと、あなたのご友人方に」
「そうか。ほんとよかったな。これからはきれいな脚を……隠さずに歩けるもんな!」
アリババは最大限褒めたつもりだったのだが、裏腹にモルジアナはしんと冷めた目で黙っていた。アラジンの時は照れたのに、と心に疑問を残しながらも、大きく咳払いをして話題を切り替える。
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作者名:名無しさん | 作成日時:2017年12月30日 21時