第12夜 命張る場所 ページ19
「う〜〜〜〜〜〜〜〜ん」
せっかく辿り着いた塔なのに何もなく、アリババはつい唸ってしまう。
「おーいアラジン、琥珀、何かあったか〜?」
アラジンと琥珀にも声を掛けるが、ない。石でできた置物ばかりだ。とだけ返され、肩を落とす。
「ここは『宝物庫』じゃなかったみたいだな、他をあたってみる?」
琥珀の提案にアリババもそうだな、と捜索の手を止めて腰を上げる。
「まだ建物はいっぱいあるからな、とりあえず外に出ようぜ……」
三人が入ってきた扉から出て行こうと足を進める。扉から出ようかとしたその時、
「わぁああぁあ!!!」
目の前に現れた巨体に驚き、アリババは悲鳴を上げナイフを抜いて戦闘態勢になる。が、すんでの所でアラジンが止めた。
「待ってアリババくん!この人、もう……」
アラジンが言った通りその男、ゴルタスにもう戦意はない。それどころか思い切り前のめりに倒れてしまった。
「ひどい……この人、前が焼けただれちゃってるよ」
ゴルタスは前の焼けただれ、それに加え前面にも背面にも一面に刺し傷があった。
このレイピアによるであろう刺し傷……それは、
「アラジン!!」
アリババの忠告むなしくアラジンは何者かに蹴り上げられ、そのまま遠くの柱へと吹っ飛ばされる。ジャラっと鎖をなびかせ着地し、その後ろからザッザッと苛立ったような足取りでもう見慣れてしまった顔の男が出てくる。
「てめえ……!」
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作者名:名無しさん | 作成日時:2017年12月30日 21時