１０６話 大事な偶然 [松本] ページ5
7日間
たったの7日間だ。
どうして皆んながそこまでこだわるのか
俺も
同じ気持ちになってしまうのか
翔くんに特別執着する訳を考えて
分からなくて。
窓の外、だいぶ傾いた太陽を眺める。
リーダーが雑誌をめくる音がして
そっちを振り返った。
「ねえ、不思議じゃない？」
智「んー？」
「何なんだろうなって思う。この感じ。この俺らの、この、なんつうか…」
ソファーに寝転がったまま
雑誌から目線を上げて俺を見る。
何も言わずに、「ふふ」って。
「笑ってないでさ」
智「俺だってわかんないよ」
「けど…やっぱ変だよね？変だと思うよね？」
智「んー」
全部ワンテンポ遅れて返ってくる言葉
相変わらずふにゃふにゃ笑うだけで、
同意も否定もしない。
6年前の雑誌を熱心に眺めている
のか、そのふりをしているのか。
だから聞くのは諦めた。
そこに寝転がってるリーダーを見てるだけで
それも答えな気さえする。
この部屋の中に、5人が何の気兼ねなくいた。
その一部分を切り取って今、
見ているような。
5人が集まることで、それを完全に取り戻したいってだけの
ほんの小さなわがままなのかも。
妙な絆だなあと思う。
あの日たまたま来た先がココじゃなきゃ、俺は、このメンバーの一人としては居なかった気がする。
人生の全てのことは、そんな偶然の連続なんだろうけど
偶然が時々、後で思い返してみて怖くなるくらい、すごく大事だったりする。
智「何食いたい？」
「ん？」
智「今日はお祝いだ。一人前なった」
「俺のお祝い？」
智「うん。そうゆうのは大事にしたいなって、なんかそう思ったんだよ」
「なんだそれ」
智「わかんないけど、これからも続いてく気ぃして。俺らはこうゆうの、ずっと」
舌足らずな柔らかい言葉が響いた。
これからも、ずっと続いてく関係か。
智「もちろんそこには翔くんにも居てほしいし。
答え、わかんないけど、
俺はそう思うから
多分ほんで、みんなもそう思ってるから」
「分かんなくてもいいんじゃん？」て、
リーダーはまた笑った。
ずっと続いてく
未来の、この先のために、
俺たちはもしかしたら、今必死になってるのかな。なんて
リーダーの話を聞いて考える。
6年前の偶然が大事だったように
これから成し遂げようとしている事も
もしかしたら未来に繋がる
すごくすごく、大事な事なんじゃないかなって。
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ふみちゃん - Rachelさん» コメントありがとうございます＾＾励みになります。更新ペースが不定期で恐縮ですが、引き続き楽しんでいただけたら嬉しいです！ (2021年3月15日 17時) (
レス) id: 407866e2e5 (このIDを非表示/違反報告)
Rachel - このシリーズは本当に泣けてきます。すごく感動するお話でもっともっと読みたいと思うので時間がある時に更新お願いします！ (2021年3月14日 13時) (レス) id: 1b01e77981 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ふみちゃん | 作成日時：2021年1月9日 11時
