１２５話 白線の先 [大野] ページ24
死神になると、昔のことは忘れてく。
ニノが火傷の痛みと引き換えに覚えとこうと努力した記憶も
まだ鮮明な松潤の死に際の記憶も
俺にはもう何も残ってないと思ってた。
刻々と遠くの空が明るくなるのを見ながら、
だんだんとそれがこっちへ迫ってくるのを見ながら
死神になった日の事を考えた。
何も分からず天界へ来て、背中には黒い羽が生えていて
あ、死んだんだ。と思った次の瞬間には
あいつの事が頭に浮かんだ。
俺と違って天国に行ったに違いない。
天界っつうのは天国か地獄しかないもんだと思ってたけど
俺がいるのはどこで、俺はなんなのか分からないまま待ってると
他の死神が現れて
それであれこれ教えてくれた。
あいつに会いたければ、死神としての知識も力も必要だった。
同時に、それを得るには時間がかかることも知った。
時間がかかるということは、会いたい気持ちも鈍るということ。
皮肉なもんで、俺が天界のことを分かってくる頃には目的を忘れてしまってた。
そうやって死神であることに従順になって
時計に呼ばれるがまま人が死ぬのを見送って。
どんどん人の死に対して鈍感になった。
その前に俺は、自分でもう一つ切り札を作っていたのに…
それさえも、忘れていたんだ……
潤「リーダー、公園だよ。
ここもまっすぐ？」
白線を踏んでいた足から、松潤の声に視線をあげると
あぁ……
潤「ん？」
「…も少し時間あるから、寄ってこ」
潤「え？」
「松本さんブランコ乗ってみなよ」
潤「え、ヤダ。普通に恥ずかしいんだけど(笑)」
「押したげるから」
渋々、入り口のポールを超える松潤。
ニノ「ちょっと？」
相葉「遊んでくつもり？」
『懐かしい…』
ニノ「ん？」
『本当にちっちゃい頃に、翔ちゃんと、お父さんと、キャッチボールした』
相葉「お父さん、会ったの？」
『うん。いい人に見えたけどね』
いい大人が５人も公園に集まって…
潤「智、ほらもっと押せよ！」
「はい！」
潤「もっと！(笑)」
「ちょ、勘弁してくれ。腰がおかしくなる」
相葉「智〜、俺も次やって〜」
ニノ「俺はパス。Aさんはやってほしいって』
『え、言ってない！』
ひとしきり騒いで汗をかいて。
松潤が大きなくしゃみをしたのを合図に
俺らは公園の真ん中で円になって休憩した。
気持ちの整理は、自然とついていた。
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ふみちゃん - Rachelさん» コメントありがとうございます＾＾励みになります。更新ペースが不定期で恐縮ですが、引き続き楽しんでいただけたら嬉しいです！ (2021年3月15日 17時) (
レス) id: 407866e2e5 (このIDを非表示/違反報告)
Rachel - このシリーズは本当に泣けてきます。すごく感動するお話でもっともっと読みたいと思うので時間がある時に更新お願いします！ (2021年3月14日 13時) (レス) id: 1b01e77981 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ふみちゃん | 作成日時：2021年1月9日 11時
