１２３話 通じる [大野] ページ22
相葉ちゃんの不安定さは、俺にはよくわかった。
時計の望む事を受け入れて応えようとすんだけど
それが時々、間違ってるようにも思えて
そのせいで何か大事なものを失うかもと思うと、不安でたまらなくなる。
立ち上がって
猫を見つめる松潤の背中に手を置いた。
こっちをチラッと振り向く顔は
不満そうに眉間にしわを寄せて向こうを見る。
「俺も、知りたい」
猫が体を動かすと、Aちゃんは地面に離した。
潤「またいつ連行しようか見計らってたの？
家にまで潜り込んで？
趣味悪いな」
智「分かった」
潤「ん？」
智「答えるって言ってる」
ひたひたと、目の前まで歩いてくる猫を見ながら
時計を持ってなくても、自分の気持ちが不安定に揺れるのを感じた。
潤「聞こえんの？」
智「それなんだよね」
言葉が分かるというよりは、猫と通じてる。
管理官の考えてることが、直接伝わってる感じ。
智「あんま…はっきり言いたくないんだけど」
潤「うん」
智「今回の件は見守らせて…いただきます。って…」
潤「は？」
俺も驚いて猫に合わせてまたしゃがんだ。
智「なんで？何、企んでんの」
同じように腰を低くした松潤が今度は、俺の背中に手を置いた。
潤「あんたが味方するなんて気持ち悪いな」
智「本来は、」
聞き取り辛くてもう一歩猫に近づく。
智「本来はもちろん、許可できないような行いです。公に見守れないから猫に化けた…」
松潤を見る。
潤「やっぱり納得できないんだけど。目的は？」
猫を見る。
智「…ヒントも教えたはずです。
カウントダウンが終わる前に戻ってこい…
あなたが…」
あなたが力を求める時には、
いつも助けに来ていたはずです。
管理官は、そう言った。
潤「なんて？」
途中で伝えるのをやめた俺を松潤が覗く。
智「何…言ってんだ？」
ニノが悪魔に取り憑かれた時も、
あなたが私を呼んだんですよ。
智「俺が？アンタを…？」
潤「どうしたんだよ。なんて言ってんの？」
全部、謎が解けてしまいそうなのが怖かった。
この旅の目的や
始まりや
俺が誰かを苦しめているかもしれないことも。
忘れていたとても大事なことも。
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ふみちゃん - Rachelさん» コメントありがとうございます＾＾励みになります。更新ペースが不定期で恐縮ですが、引き続き楽しんでいただけたら嬉しいです！ (2021年3月15日 17時) (
レス) id: 407866e2e5 (このIDを非表示/違反報告)
Rachel - このシリーズは本当に泣けてきます。すごく感動するお話でもっともっと読みたいと思うので時間がある時に更新お願いします！ (2021年3月14日 13時) (レス) id: 1b01e77981 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ふみちゃん | 作成日時：2021年1月9日 11時
