１０４話 待ち人来たる [二宮] ページ3
「迎えに来ました、あなたのこと」
ニコって微笑む
ティーポットを持つ手が止まった。
『私をですか？』
怪しいを通り越して、呆れたような目で笑うとこ、
翔ちゃんに少し似ていた。
「我々は死神です」
相葉「ちょっと、ニノ」
肘で突かれたけど
大丈夫。
ほら、どう出るか見せて。
相葉さんが恐る恐る見上げた先、
吉川さんはようやく本気で笑った。
『死神。・・・あははは！』
相葉「あ、あははは…！コイツこそ変ですよねえ！」
まずいと思った相葉さんが一層大きな声で笑い返す。
でも。
『ごめんなさい違うんです』
彼女は目尻を拭って
『とうとう来ちゃったかぁ…って思って』
相葉「…え？」
『本当にいたんですね。
私、待ってたんですよ？』
相葉「僕ら…をですか？」
『お二人が死神なら、さっきの質問の答え。聞いてました、翔ちゃんから』
順番に目を合わせて、彼女は大袈裟なため息をつく。
それから眉間にシワを寄せる仕草は彼女に似合わず、
ああ、翔ちゃんの真似をしてんだ。
『もう少しで死ぬんだ、って真顔で言ってたなあ』
相葉「それ、信じたんですか？」
それには首を振って
『何言ってるかわかんなかったですけど、死神って信じる？って聞いてきたあの顔を思い出したら、
今、色々わかりました』
「どうぞ」と俺たちの前にお茶を置く。
相葉さんはお礼の言葉も忘れて
吉川さんから片時も目を離さず、出されたお茶をズズっとすする。
いや、やられた方、
めちゃくちゃコエーと思いますよ？(笑)
相葉「なんて答えたんですか？」
『ん？』
相葉「それ聞かれて。…あ、すいません。御馳走様です」
意図的に相手の感情を揺さぶりたくて質問をぶつけていた俺と違い、
お茶を飲み干した相葉さんがナチュラルに聞く。
彼女は少しの間黙って相葉さんを見ていたけど、言葉を探してるふうではなくって
彼女との距離が、スッと目の前に見えた気がした。
『信じたくないって答えましたよ？』
そう言った。
翔ちゃんと同じにコロコロ変わる表情が、
なかなか本心を見せてくれなかったけど
今、俺もわかった。
その目は俺たちを、憎むべき存在だって、敵対視する。
「でも待ってたわけですよね」
『だって言ってたんですよ。死神になって会いにくるって』
１０５話 ならなかった [相葉]→←１０３話 友達の空気 [二宮]
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 202人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ふみちゃん - Rachelさん» コメントありがとうございます＾＾励みになります。更新ペースが不定期で恐縮ですが、引き続き楽しんでいただけたら嬉しいです！ (2021年3月15日 17時) (
レス) id: 407866e2e5 (このIDを非表示/違反報告)
Rachel - このシリーズは本当に泣けてきます。すごく感動するお話でもっともっと読みたいと思うので時間がある時に更新お願いします！ (2021年3月14日 13時) (レス) id: 1b01e77981 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ふみちゃん | 作成日時：2021年1月9日 11時
