トリップして公安とFBIに迫られるとかほんとに需要ないからやめてほしい 2

45話 ページ11

コナンくんから商店街の福引きで蘭ちゃんが当てたというお一人様用の大阪旅行券をもらうのはそれから数日後のことだった。



「せっかく蘭姉ちゃんが当ててくれたんだけど、1人しか行けないみたいだしその日は僕たちマカデミー賞をみたいから、是非Aさんにもらってほしいんだ！」



そう言って差し出されたチケットを私は受け取らないわけにはいかないのだった。




(マカデミー賞ってどう考えてもあの宅配便事件のことだよね？？)



宅配便事件とは、安室さんが昴さんの正体を暴くべく宅配便業者を装って工藤邸に乗り込んで来る事件のことである。


その日に備えて邪魔ものである私を工藤邸から遠ざけたいというコナン君の意思は明白だった。



だから私は普段なら渋るであろう突然の贈り物を二つ返事で貰い受けたのである。





「大阪旅行ですか、いいですね」



「はい、なのでその日から三日間この家には帰らないので把握をお願いします」


お前ぜってー知ってるだろ！と、コナン君とグルになって絶対に知ってるであろう情報をもう一度私から聞き、その時初めて聞いたようなふりをする沖矢昴、もとい赤井秀一に内心爆笑しながら私はしっかりと家を外す旨を伝える。



「分かりました。ところで__________」



「君はこれから起こる出来事をすでに知っていたりはするのか？」



「！」



彼の正体を明かされてから、家にいる間は変装を解いてもいいのではないかと提案したことがあったが、緊急の時に備えてと、却下されてしまった。


そして彼は変装を解かない代わりに一瞬だけ沖矢昴の姿で赤井秀一に戻ることがある。


いつもは瞼で閉ざされているエメラルドグリーンの瞳を覗かせ物事の本質を突いてくるブレない声色はいつだって私を驚かせるには充分過ぎるのだった。




まるで今のように。

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