Emergency 12 ページ14
現実逃避をして見たところでこの絶望的な状況は何も変わらない。
不気味なほど朗らかに笑うその普通ではない男は、つい今朝まで一緒にいた男である。
家の場所なんて知られているだろうし、念には念をと自分の家には帰らず新一の家に来たのだ。
おそらく新一に電話した時にはすでにこの家の前にいたのだろう、行動力が尋常じゃなさすぎる。
「Aと話がしたい。新一くん、少しだけ2人にしてもらっても?」
ダメ、絶対ダメ。死ぬ気で新一に念を送るとそれを察してくれたのか新一はチラリとこちらを見てから気まずそうに降谷さんに向き直る。
「あーー、えっと、、」
「いいよね?」
もう一度一言だけ発した降谷の言葉に新一の顔から色がなくなるのが見えた。
拒否したらお前を殺す、そう言っていた、絶対。
ああ、かわいそうな新一、私を庇おうとしたばっかりに。
でも正義感の強い新一のことだ、なんやなんやで私を見捨てるようなことはしないだろう。
「ハイ、モチロン」
「エ“?」
耳を疑った、目の前には絶対零度の表情を新一に向ける降谷さんと、その降谷さんに情けなく頭をぺこぺこ下げながらこの場から立ち去ろうとしている新一。
「しん、いち?」
「あ、俺ちょうど博士に用があったんで、はい、ほんと、ゆっくりしてってくださいね」
「そうか、助かるよ」
そう言って一瞬にしてまた朗らかな笑顔を新一に向けた降谷さんはすぐにまた絶対零度の表情でこちらを向く。
アッ次に死ぬのはお前だっていう意思表示って事でオッケーですかね?
「い”やあ“あ”ァァアア“!!!2人にしないでぇえ”ええ!しんいぢい“いいい!!」
そのまますたこらさっさとこの場から逃げようとする新一の腰にしがみついて必死に引き留めようとする。
自分に抱きついてきたAを剥がそうとしたところで新一は降谷の顔をもう一度うかがう。
そこには自分にしがみつくAを見て、絶対零度から氷点下まで気温が下がった降谷さんのお顔が。
新一はふただひ焦り始める。
(この女、!!せっかく命拾いした俺の命をなんだと思ってんだ!!!)
なんとかAを引き剥がし脱兎のごとく逃げ出した新一であった。
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Taniokapi(プロフ) - めっちゃ良かったです!降谷さん好きにはたまりませんね(笑)素敵な小説をありがとうございます! (2021年8月17日 19時) (レス) id: f9db5fc732 (このIDを非表示/違反報告)
未桜(プロフ) - ストーリーがとても好きで一気読みしてしまいましたw折角の面白い小説だと思ったので一つ指摘させてください!12話の絶対零度から氷点下に気温が下がった表現ですが、絶対零度は最低温度の−273度なので逆でないと気温が上がっていると思います…細かくてすみません! (2018年11月16日 22時) (レス) id: 5126538094 (このIDを非表示/違反報告)
響(プロフ) - 後日談が好きすぎてニヤケが止まらずスマホ片手にニヤけてるとても変人になってます…← ふみさんの作品大好きです! (2018年9月13日 18時) (レス) id: 229194c5dd (このIDを非表示/違反報告)
Maho(プロフ) - こんばんはー、はじめましてまだ途中ですがとっても面白く、ニヤニヤしながら読んでました! (2018年9月11日 21時) (レス) id: e66d7d83c8 (このIDを非表示/違反報告)
結愛(プロフ) - 夢主ちゃんの怒り方が可愛い...(昇天) (2018年9月2日 9時) (レス) id: 4e4bc357c1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ふみ | 作成日時:2018年6月13日 22時