上司と朝チュンとか流石に笑えない 【降谷零】

Emergency 10 ページ12

「で、オメーはいつまでそうしてるつもりだ？」




「うう、、、」




「アポなしで突然押しかけてきた挙句理由も言わず人の家でだらけるとは随分偉くなったもんじゃねーか」



「でもーーー、、しんちゃんんんんん、、、、」



ふかふかの大きなソファで芋虫のようにもぞもぞと転がる私を呆れた目で見るのは、ニ歳年下の私の従兄弟である。


日本警察の救世主と謳われ高校生探偵として名を馳せた彼は一年前に突然姿を消し、世間を騒がせたが何食わぬ顔で帰ってきた数ヶ月前のことはまだ記憶に新しい。



話を聞くと何やら大きな組織を壊滅させるため世間から姿を隠していたらしい。

その間毒薬を飲まされ身体が縮んでしまっていた彼の協力者となったのが降谷さんである。
公安も同じ組織を長年追っていたらしく、その国際的犯罪組織の壊滅作戦の舞台こそ日本であったが、日本警察だけでなくFBI、CIA、MI6など各国の協力があった上での成功だった。



もともと実家が工藤邸から近かったためAは新一のもとへ頻繁に遊びに来るようになっていたのである。



「昨日の夜はこれから降谷さんとご飯に行くことになった〜！つって嬉しそうなメール送ってきたじゃねえか、何があったんだよ」




その瞬間分かりやすくピクリと固まるAをみて賢い新一は確信する。




(この様子じゃ降谷さんと何かあったな、、？以前降谷さんと話した時俺とこいつがいとこだって話をしたらやたら食いついてきたし、警察学校時代降谷さんには世話になったって言ってたか？降谷さんまさか、、、)





その直後に新一の携帯に着信が入った。

着信元の表示をみて新一の確信はさらに決定的なものに変わるのだった。




「もしもし」



「もしもし、新一くん？」



「お久しぶりですね、降谷さん」


その瞬間視界の隅でAがガバリと身体を起こすのが見えた。



「久しぶりだね。ところで、そっちに俺のが世話になっていないかい？」



やけに’俺の‘を強調していた気がするが、そもそも俺のって言うのはそこのソファでガタガタ震えてるあいつで間違いないだろう。



腕を顔の前で組み×印を作って真っ青になってブンブンと顔を左右に振るA。



「あーー、えっと、なんていうか」




「いるんだね？」




電話口から聞こえてくる降谷の声は問いかけなど生易しいものではなく有無を言わさない確信に満ちた確認だった。



新一にはYESと答える以外に選択肢などなかったのである。

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