上司と朝チュンとか流石に笑えない 【降谷零】

Emergency 7 ページ9

まずは自分の衣類を身につける。



しわくちゃになって型が崩れた状態で床に伸びた洋服をもう一度身につけるのは少しばかり気が引けたが仕方がない。



自分の洋服を身にまとったら、今度は降谷さんのスーツだ。


なるべくシワが伸びるように軽くはたきなるべく綺麗に、整然となるようハンガーへかけた。



そして最後の難関、ゴミ箱に捨てられた例のブツである。



本当なら完全に証拠を隠滅するために持ち出してどこか別の場所で破棄したいが、いくら降谷さんの未来のためといっても、私にはそれを持ち出す力量はなかった。



仕方なくビニール袋など適当なゴミを作りその上からその下にあるゴムを奥へ押しつぶすように押し込んだ。


仕上げに新聞紙を適当に破いて上からかければカモフラージュの完成である。



降谷さんだってお酒を飲んでいたのだ、だから私に手を出したに違いないし、お酒の勢いで起きた事故なら、目が覚めた時にはほんとど覚えていない可能性が高い。



わざわざ意味もなくゴミ箱の中身を確認するとは思えないし、これで昨日の夜私と降谷さんに何も起きていない設定の完成である。





ごめんなさい、降谷さん。

でもあなたのためなんです。




私は心の中の燻りに気がつかないふりをしながら部屋を後にした。

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