Emergency 4 ページ6
私を支えるためか、降谷さんの腕が私の腰にまわり、必然的に降谷さんとの距離が近くなる。
がっしりとまわされた腕が、まるで逃さない、と言っているようでドキッとした。
私の体をすっかりおさめてしまう広い胸にどきまぎしながらも降谷さんの様子が少しおかしいことに私は気づいていた。
いつもよりなんだか距離が近いし、熱のこもった瞳で見つめられる。
「もしかして降谷さん、酔ってます?」
そう言うと降谷さんは少し驚いたような顔をして
「さあな」
とだけ言うとまたフッと笑うのだった。
入ったバーは、映画やドラマで見たとおりで、お客さんもみんな雰囲気があって少なからず私のテンションは上がった。
「何を飲みたい?」
「全然分かんないです、カクテルとか?あんまりお酒、強くないやつ、、」
「ウイスキーはどうだ?ちょっと強いけど」
「降谷さんに、任せます、」
降谷さんが注文してくれたウイスキーは一口飲んだだけで身体の芯から熱く痺れるような感じがして、一気に私の酔いをまわらさた。
「だいたい、なんで警察関係者って女の人が活躍することをよく思わないんれすかね??女のくせに、とか、大嫌いな言葉です!、何が警察庁にコネがある、だよ、私だってたくさん努力したんれす、!」
「そうだな、俺はAの実力を認めて警備企画課に推薦したんだ。女性とか男性とかは関係ない」
「ですよね!」
すっかり酔いがまわって愚痴が止まらない私に降谷さんはテンポよく相槌を打って話を聞いてくれて、なんだかすごく気分が良くなってしまった。
ちびちびと飲むしかできない私に対して、降谷さんはなかなかのスピードでグラスをあけているが、酔っているそぶりは全く見せない。
流石、としか言いようがない。
私もお酒強くなりたいな。
熱くなってしまった頰を冷やすようにテーブルに顔をつけ、降谷さんを見上げる。
「ちょっと飲みすぎた?かもしれないです、おみず、飲みたいかも、です」
「分かった」
その後すぐに渡された透明の液体を全く疑うこともせずゴクリと飲むと、明らかに水ではないお酒特有の痺れるような感覚が喉に広がった。
「お水じゃないじゃないですかあ、!」
「ばれたか」
「私だって、酔っててもそのくらい分かります!降谷さんのいじわる」
「そうだな、俺は意地悪だ」
そう言った時の降谷さんの目が意味ありげに私を見ていたことなんて私は知らなかったのである。
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Taniokapi(プロフ) - めっちゃ良かったです!降谷さん好きにはたまりませんね(笑)素敵な小説をありがとうございます! (2021年8月17日 19時) (レス) id: f9db5fc732 (このIDを非表示/違反報告)
未桜(プロフ) - ストーリーがとても好きで一気読みしてしまいましたw折角の面白い小説だと思ったので一つ指摘させてください!12話の絶対零度から氷点下に気温が下がった表現ですが、絶対零度は最低温度の−273度なので逆でないと気温が上がっていると思います…細かくてすみません! (2018年11月16日 22時) (レス) id: 5126538094 (このIDを非表示/違反報告)
響(プロフ) - 後日談が好きすぎてニヤケが止まらずスマホ片手にニヤけてるとても変人になってます…← ふみさんの作品大好きです! (2018年9月13日 18時) (レス) id: 229194c5dd (このIDを非表示/違反報告)
Maho(プロフ) - こんばんはー、はじめましてまだ途中ですがとっても面白く、ニヤニヤしながら読んでました! (2018年9月11日 21時) (レス) id: e66d7d83c8 (このIDを非表示/違反報告)
結愛(プロフ) - 夢主ちゃんの怒り方が可愛い...(昇天) (2018年9月2日 9時) (レス) id: 4e4bc357c1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ふみ | 作成日時:2018年6月13日 22時