27. ページ28
.
ふとした時にテレビをつけると、
彼の所属するグループが音楽番組に出ていた。
「 こ、恋人… 」
『 せやろ？俺らもう恋人同士やん 』
「 そう…なんだ、 」
『 なに？ちゃうの？ 』
「 いや、ううん、わかんなくて 」
『 ･･･ 、これは俺の我儘やねんけどさ＿＿ 』
彼は私の反応を見てから少しの沈黙の後、
ぽつりと呟く。
『 大変な思い、させるかもしれへん…
嫌なことの方が多いかも、でも、やっぱり… 』
『 Aちゃんが好きやから。
恋人らしいこと、何もしてあげられへんかもやけど… 』
『 …それでも、恋人っていう存在でおりたい。 』
正直、仕事のことは詳しくは分からないけど。
彼が何を言いたいかは分かる。
そりゃそう。普通の恋人同士になんか、
なれるわけがないし、許されるはずもない。
応援も、されないんだろう。
だけど不思議と、彼の言葉だけで
さっき感じた不安が消えていた。
「 その、気持ちだけで十分、 」
『 ･･･まともなデートだって、できへんよ？ 』
「 私、インドアなので、」
『 それは、俺もやけどさ、 』
「 ご飯しっかり食べて元気でいてくれれば良いです。」
『 ･･･それ一方的やん 』
「 そんな事ないですよ？私…大ちゃん笑ってるの
結構好きなので。」
何言ってんだって言われるかも。
でも、本当にそう思うから＿＿＿＿＿
『 そんな、オカンみたいなこと言っとらんでさ 』
「 えっ… 」
『 Aちゃんはもう少し俺に甘えること。 』
「 甘え、る… 」
『 ･･･そう、気兼ねなく、な？ 』
そんな事を言いながら、
私に向かって腕を広げる彼は、
『 大ちゃんやで 』とかおちゃらけてる時とは
全く違う表情をしていた。
＿＿＿甘えても、いいんだ…
そっと、吸い込まれるようにその腕の中に収まる
「 甘え、下手なんですよ。私 」
『 うん、何となくわかんで、』
「 どうしたらいいか、わかんないかも… 」
『 ええんよ、ちょっとずつ、な？ 』
「 …うん、」
彼と出会って、自分の中でずっと
張り詰めていた気持ちが緩んでいく気がする＿＿＿
テレビの中の彼は、
もちろんキラキラと輝いていて、
それはもう、“テレビの中の人”な訳だけど。
もはや私には、
彼の立場とか、職業とか関係ないんだ＿＿＿＿
たまたま彼がアイドルだっただけ。
ただ、それだけなんだ。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 968人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
fumi(プロフ) - まっちゃさん» わぁ…ありがとうございます！嬉しいです🥺マイペース更新ですがよろしくお願いいたします☺️ (10月10日 2時) (
レス) id: f43f639b70 (このIDを非表示/違反報告)
まっちゃ - 最近Fumiさんの作品をめっちゃ見てます…！好きです…！これからも更新楽しみにしてます！（無理だけはなさらないでくださいね） (10月4日 22時) (レス) @page37 id: ab6afd240e (このIDを非表示/違反報告)
fumi(プロフ) - ごんさん» わっ、、、！「 力不足 」ですよね…！完全に打ち間違えてました、、！ご指摘ありがとうございます〜！！！訂正しましたっ！ (9月7日 16時) (レス) id: 82dc30ea09 (このIDを非表示/違反報告)
ごん(プロフ) - 「役不足」とは役目が実力不相応に軽いこと、与えられた役目に満足しないことという意味です。 (9月7日 9時) (レス) @page36 id: b783c3db3d (このIDを非表示/違反報告)
fumi(プロフ) - りあさん» 嬉しいですっっ🥺💞ありがとうございます〜〜！🫶🏻 (7月20日 23時) (レス) id: bce4216c10 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：fumi
| 作成日時：2023年7月17日 22時
