僕の全てを君にあげる[ naniwa ] (ページ10)

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少しずつ、少しずつ、
着実に変化は表れていっていた＿＿＿＿＿

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『あの、今度の映画なんですけど… 』

「あ、〇〇さんの作品ですよね？私好きで… 」

『 …っていうのを他のスタッフさんから聞いて』

「？？？」

『色々…聞いてもええですか？原作のこと』

「もちろん！何か食べながらにしましょっか、」

『あ、うん…！！』

「 …ははっ笑お腹空いてました？笑」

あと数ヶ月したら、ほとんど
彼に付きっきりになるであろう私。
だからこそ、彼とはなるべく交流を深めようとは
思っていたりした＿＿＿
もちろん、仕事仲間って意味で。

「前に道枝さん行きたいって言ってたカフェとか･･･」

『えっ…それ結構前にサラッと言ったやつ… 』

「なかなか忙しくて行けないですもんね。
　ほら、今日は現場近いんで…！」

そんな話をすれば、
これでもかってくらい顔がほころぶんだから、
言ってみて良かったなぁなんて思ったりする＿＿＿＿

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『ん〜･･･ねむ… 』

「 30分くらい空くんで仮眠とります？」

『じゃあちょっと肩貸して』

「一回車降りてもいいで…『 Aの肩でええから』

いまいち距離感が掴めない恭平・・・じゃなかった高橋くん。
何となく、彼は最初、私にいい印象はもってなかったと思う。
なのに、なんか、さらっと隣にいることがあると
最近になって気づく＿＿＿

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「藤原さん！！見ましたか！！！」

『みたみた！〇〇のバッティング熱かった！！』

「はぁ〜･･･生で見たかったです、あれは… 」

本当はこういうところ、誰にも見られたくなかったのに。
見られてしまったのが彼で。
でも、同じ趣味ということもあり意気投合＿＿＿＿
今では唯一、職場で熱く語れる言わばオタク仲間のような･･･
なんていったら失礼かな。

『なぁ、今度一緒に見に行かん？』

「え・・・！」

『めっちゃ目キラキラさせんなぁ～～笑』

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「大橋さんどうしました？」

『へっ？なんもないで〜？』

「･･･？でも、元気ないですよね」

『 Aちゃんって、エスパーかなんかなん？』

「違いますよ笑」

『･･･せやんな、』

何か言いたげなその表情は、
普段の姿とは違ってミステリアスな印象。
実は単純そうで、彼が１番謎に包まれてる気がしてる＿＿＿

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