�� ◾︎ 離れたくない ページ39
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『 ・・・？！ 』
「 頑張り過ぎないでね 」
自分では無理をしとるつもりはなくて。
そりゃ大変やなとは思うけど、
これが俺のやるべきことやって思うし、
やりがいもあるし、
しんどいとかそういうマイナスな気持ちは
ほんまになくて。
だけど＿＿＿＿
今、Aさんの腕にそっと包まれて
張っていた糸が切れたような気がした
『 ……っ、 』
「 道枝くんは十分頑張ってるよ 」
『 っ、ごめ…恥ず…こんなん情けないやん… 』
「 そんなことない 」
彼女と出会って、
決して長い日が過ぎた訳やない。
だけどこんなにも信頼できて、ホッとして
励まされて、笑顔にしてくれる。
『 …Aさんにカッコ悪いとこ見られたないな 』
「 見たことないよ、そんなとこ 」
『 嘘やん 』
「 あ…寝顔…？ 」
『 わっ！それ言わん約束やろ！ 』
「 ははっ笑 ごめ、そうだった笑 」
真剣な空気が和んだ瞬間、
俺の首元に絡んだ彼女の腕が解けそうになる
『 ･･････ 』
「 …ん？？ 」
それを俺は反射的にぎゅっと掴んだ。
離れていかんように＿＿＿＿
「 …どう、したの？ 」
『 …もうちょっと、もうちょっとだけ… 』
撮影も延びた言うてたし、
ここには他に誰も入ってこんよね…？
後ろからやから、Aさんの表情は見えへん。
嫌がってへんかな…怪しんでへんかな…
咄嗟に掴んだ手の力もその不安から
どんどん抜けていく。
でも、きっとそういうのも彼女には
全部お見通しで。
俺の不安を掻き消すように、
一番はじめよりも、強く俺の首に腕を絡めた
『 …… ありがと 』
「 どういたしまして 」
よくわからんやり取り。
何がありがとうなん？どういたしましてなん？
これまたクスッと笑ってしまいそうやったけど
お互いに笑ったりせず、
暫くその体制のまま＿＿＿＿
不思議と、Aさんから元気が送られてくるような
そんな感じやった。
「 弱音は吐いてね、ちゃんと 」
『 …うん 』
「 心配しちゃうから 」
『 ごめん、』
だけど＿＿＿＿
どうやったらまたこうやって
抱き締めてくれるんかな、なんて。
そんな事考えとる俺は、あかんのかも。
『 Aさん… 』
「 ん？ 」
『 …ううん、やっぱなんでもない 』
言いかけた二文字の言葉は
まだ、言わんようにするな＿＿＿＿？
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作者名：fumi
| 作成日時：2024年2月22日 17時
