僕の全てを君にあげる[ naniwa ] (ページ37)

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∟ ◾︎ 真面目に言ってるページ37

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『俺の好きは、こういう、好き』

そう告げながら、そっとAちゃんのほっぺに
唇で触れる＿＿＿＿＿＿

ゆっくり離れて顔を覗き込むように見つめれば
思いのほか驚いた感じは見せんくて

「軽々しく、言わないで」

むしろばっさり切られた。
というか今したことにはなんも言わへんの？？？
ちゅーやで？ほっぺにちゅーしたんやけど？

頭ん中では『どゆこと～～？！』って感じやったけど
ちょっとでも大人な対応を俺もしたくて。

『真面目に言ってる』

って真剣な表情で伝えてみる。

そうすると、Aちゃんは自分の頬を
手のひらでそっと覆った。
それはさっき俺が口付けた場所＿＿＿＿

「・・・・」

今日は髪を下ろしとるから様子が分からへんけど、
耳とか赤かったりするんちゃうん…？なんて
興味本位で今度はそっと髪に触れて耳にかけてみれば＿＿＿＿

『 …真っ赤やん』

「・・・・っ」

『 Aちゃんってこういうとこずるいよな』

全く興味なさそうに、チャンスなんか無さそうに
そう感じさせながらこうやって時々、
ほんまに時々やけど期待させるんやもん。

「と、とりあえずこういうの無し」

『え～～嫌やなぁ～～』

「したら怒るからね」

『怒ったAちゃんもかわええからええけど』

「よくない！！！」

『ふはっ笑』

よくファンの子が言うてる沼ってこういうことなんかな？
最初はそんなつもりなかったのに
気付いたらどんどんハマって抜け出せへん感覚。

俺はAちゃんって沼に落ちたみたい。

『 Aちゃん』

「なに！！」

ちょっとだけプンスカしとる彼女の、
さっきと反対のほっぺに俺はまた＿＿＿＿

「！」

さすがに今度は驚いた表情。
怒る言うてたくせに、怒ることも忘れて。

『 …沼に落とした責任、とってや』

「 …なにそれ、」

簡単なことやないのは分かる。
もしかしたらあかんことなのかもしれへん。
それでも＿＿＿＿

『今度は、こっちにするから』

指先でAちゃんの唇に触れる
「ダメに決まってるでしょ」なんて
すぐに払われてしまうんやけど、

払われた指先は
Aちゃんの手のひらに包まれたまま
視線がゆっくり絡んだ＿＿＿

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