僕の全てを君にあげる[ naniwa ] (ページ3)

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◾︎ 第一印象 ( side 大西 ) ページ3

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新しく一緒にお仕事することになった
畑井A、というこの子。
俺はこの子のことを“畑ちゃん”なんて呼んでる＿＿＿＿

出会ってからまだそんな経ってへんのに、
どうしてこんなに親しい感じで愛称で呼んでるか･･･
それは初めましての日のことやった。

「初めまして。畑井Aと申します。
　今後、皆さんのサポートをさせていただきます。」

『あっ、大西流星です。
　これからよろしくお願いします。』

社交辞令な感じの挨拶を済ませた後、
その日はすぐに雑誌の撮影があって、メイクさんと
鏡越しに会話をしながら、準備をしていたとき。

『んー今日の衣装やと赤のマスカラがええかなぁ･･･
　あ、そうやこの前切らしてそのまんまやった･･･持ってます？』

メ「赤かぁーちょっと待ってね･･･ポーチ見てみ･･･「ありますよ、赤」

壁に沿って、ノートと睨めっこしていたかと思った畑ちゃんは
ささっとかばんから赤のマスカラを手渡してきて。

『わ、ありがとうございます。借りてええんですか？』

「いいですよ、全然。そういうの気にしないんで」

『じゃあ、遠慮なく･･･』

この時はまだ、このやり取りはたまたまかと思ったんやけど、
次の仕事のときも＿＿＿＿

『んー･･･何しよう、ピンクもええけど、オレンジ･･･』

「イエローとかどうです？」

『えっ･･･？』

「衣装にイエローも入ってるんで、さりげなくシミラーになって
　可愛いかなぁって思いまして。」

『イエローか･･･ありかも。うん。あり！』

畑ちゃんは普段、自分は全然薄めのメイクしかしてへんのに、
色味のバランスとか考えるのがめっちゃうまくて、
美的センスっていうんかな、とにかくアドバイスが的確で。
正直、メイクさんも「え、マネやめてアシスタントしない？」
なんて言ってまうくらい。

『すごいな、ほんまに。畑ちゃんのセンス』

「えっ･･･？」

『あっ、ごめっ、メイクさんが畑ちゃん言うてるからつられて･･･』

「あ･･･ふふっ笑全然いいですよ」

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そんなこんなで、今はもう“畑ちゃん”呼びが定着。
いつの間にか会話もラフになって＿＿＿

そんな関係性がまた、
必然的に距離を縮ませていたような気もする＿＿＿＿

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