◻︎ ある意味ゼロ距離 ページ13
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『 Aちゃんおはよ〜ございま〜す！ 』
「 ･･･長尾さん、畑井です。おはようございます。 」
『 はいはいっ笑 』
「 (笑) 」
このやり取りは顔を合わせる日は当たり前で、
さすがにしつこいって思ってるけど、
多分、彼も同じことを思ってるのかもしれない＿＿＿
『 大橋くんはよくて何で俺はあかんの！！ 』
「 特に理由はないです。 」
『 酷ない！？？ 』
「 酷くないです。笑 」
『 ほら〜〜また笑てるし！！ 』
「 笑ってないです。笑 」
こんな私達のことを道枝くんが
『 長尾と畑井さんって仲ええよなぁ･･･ 』なんて
言ってるらしいというのを最近知った。
仲がいい？私と彼が･･･？
いや、ないない、仲はよくないと思いますよ、
なんて1人でつっこみたくなる。
だけど＿＿＿
確かに普段からうるさくて、テンションの高低差が凄いし
困ったさんだなぁなんて思っていながらも、
人としては実は結構尊敬してるのは、
彼の努力家なところにあるんだと思う＿＿＿＿
『 ん･･･？あれ、Aちゃんどうしたん？ 』
「 あ･･･、その、ちょっとじっくり見てたくなって 」
ちょっとした空き時間。
その時間を利用して衣装がしまってある倉庫に足を運んで
彼が手がけた衣装を見ていたときのことだった
『 俺も、たまーにこうやって見返したくなるんよなぁ 』
「 この子達も喜んでますよ、きっと 」
『 ･･･Aちゃんって面白い視点よなぁ笑 』
「 だって、生み出してもらって、あんなステージに立てて･･･
１枚の生地だったときにはそんな未来、
想像出来ていなかったかもしれないなぁって。」
なんてね、ってくすっと笑ってみたけど
ぱっと顔を見ると目を見開く長尾さんの姿があって。
「 えっ？ 」って首を傾げれば
今度はどこか大人びた表情で笑う＿＿＿＿
『 Aちゃんも次のライブは近くで見てな 』
「 楽しみにしてます。」
『 後悔、させへんから 』
「 後悔･･･？ 」
『 Aちゃん、最初俺らにつくの嫌やったやろ 』
この子は本当に最年少なのだろうか＿＿＿
鋭い視点を持っていて、驚かされることもしばしば。
だから、少し怖くて距離を置くのかもしれない。
でもそんなことを思ってる時点で、
私たちはある意味、ゼロ距離の存在なのかも＿＿＿
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作者名：fumi
| 作成日時：2024年2月22日 17時
