崖っぷち家政婦です。

早起きは三文の徳。NJ ページ46

NJ side


時計の針は6時半を指していた。

なんとなく早く目が覚めて、リビングへ向かう。


いつもならば起き抜けの格好でそのまま行くのだけど、今日からは少し身支度を整えて行くことにした。


そうだ、読みかけの小説も持って行こう。





リビングに入れば、コトコトジュージューとキッチンから料理音が響いている。


音を辿れば、キッチンには髪をひとつに束ねた家政婦さん。



NJ「Aヌナ。おはようございます。」


声をかけてみる。


そうすると、こちらに顔を少し見せて「ナムジュンさん、おはようございます。」と小さく挨拶するヌナ。



俺は冷蔵庫から水を取り出してカウンターの椅子に座り、ヌナを観察する。




俺はヌナの控えめな存在感が気に入っている。


韓国語を話せないというのもあるのだろうけど、基本的に俺達に関心がないようだ。


無駄な質問も会話も無し。


だからかな、初対面にもかかわらずメンバー達が居心地良さそうに過ごしていた。


俺も含めて。


それでも何かを一生懸命考えてるようで時々フリーズしている。


そんな様子が可愛いと思ったりして、気付けば俺はヌナを目で追ってしまうのだ。


後ろを振り返ったヌナと目が合う。


微笑んでみたら、ヌナは軽く会釈してまた前を向き料理を作る。


ほら、とても自然な感じ。


周りの女性達とは反応が違うから、かえって新鮮だ。



ヌナがトントンと野菜を刻む音がする。


俺は冷たい水を一口含んで、持ってきた小説を開く。



早起きして良かったな、と思いながら小説の世界に入っていった。

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