崖っぷち家政婦です。

ヌナだった。JK ページ23

JK side


あ、テヒョニヒョンがAさんに抱きついた。


なんでそんな簡単に仲良くなれるのかな。

かなり年上なのに。



……俺は無理。

人との距離がよくわからない。



仲良くなると距離が縮まるのはわかってる。

だってヒョン達がそうだったから。

ていうか、ヒョン達以外いない。


そして俺はよく勘違いされるんだ。


じっと見つめる癖があるから、女性なら気があると思わせてしまうし男性なら感じ悪いだの怖いだのよく言われるし、避けられてしまう。


あ、そういえばAさんはどちらにも当てはまらなかった。


衝撃の睨み返し。

無表情が一変して目がポロリと落ちそうなくらい見開きながら俺を威嚇していた。

思い出してクスッと笑ってしまう。




ふいに肩をガシッと掴まれてハッとする。

Aさんが片方の手で俺の肩を掴みながらもう片方の手をグーサインしていた。


"いいよ、君。その笑顔プライスレス。"


Aさんがボソリと日本語で呟くと、ギュッと俺の右手を両手で握った。

簡単な日本語だったので俺でもわかった。



……なにこの人。

……ふふ。

んふふふふ。


あはははは！



自分でもびっくりするくらい笑えた。


プライスレス！あははは！


Aさんは、あからさまにドン引きしてススス…と離れていった。



年上でよかった。

ヒョン達に囲まれて生活していたし、前の家政婦の件があるから年下とか無理。


てか本当に30なの？

見た目は全然そうは見えない。

俺と同じくらい？もしくはひとつ上くらいに見える。


あ、よく見るとユンギヒョンと少し雰囲気が似ている。



眉上ぱっつん、あきらかに自分で切った感じも良い。

無表情なのも良い。

媚びる感じは皆無だ。

くりっとした目が可愛らしい。

キュッと結んだ唇も、小さな鼻も。

とても良い。



ヌナ。

うん、ヌナだ。


なんだか胸の中がむず痒くなって、だけどワクワクもしたりして。

ヌナ、プライスレスな笑いをありがとう。


初対面で仲良くなりたいなんて思ったのは初めてかもしれない。


俺達、きっと仲良くなれる。


なってみせる。

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