崖っぷち家政婦です。

ヌナだった。TH ページ22

TH side


ジミニとAさんが手を合わせて楽しそうにしてる。


俺は日本の文化が好きで漫画やドラマをよく観てたから日本語は何となくわかるんだ。

話すのは難しいんだけどね、リスニングは結構自信あるの。

ジミニはいまいち聞き取れてないっぽいけど、俺はよく聞こえたよ。

良かった、Aさんがジミニを気に入ったみたい。


ナムジュニ、ホソギ、ユンギヒョン達も微笑んでて良い雰囲気。


俺も嬉しいな。

こんなに穏やかな空気は久しぶりな気がする。


正直俺は年上とか年下だとかどうでもいいし気にしないんだけど、世の中の流れ的には駄目みたい。

だって仲良くなるのにそんな硬い感じ嫌じゃない？俺は嫌なんだけどなー。


でも皆がAさんに謝る方向で話が進んでたから俺もそうした方がいいのかな？と思って同意したんだ。

四次元とか空気読めとかよく言われるから最近はちょっと気にしてるんだよね。

だけど罪悪感とか感じないからAさんにどうやって謝ろうか悩み中。


あ、まだ悩んでるのにAさんが来ちゃった。

うーん、いいや。とりあえず謝ろう。


「あ〜、ごめんなさぁい。」


チラッとAさんの様子を伺ってみる。

くりっとした目がパチパチと素早く瞬きする。


"どうして？何も悪いことしてないのに。"


Aさんがぼそっと日本語で呟く。

その言葉に俺は嬉しくなってつい本音を話してしまう。


「そう〜！ぼく、悪いことはしてないです〜！そうおもってましたぁ。」


あっ、メンバー達が一斉に俺を見た。


俺、また何か間違えた？


嬉しい気持ちが萎えてしまって下を向く。


だけど、Aさんはとても力強く俺の右手を握って言ってくれたんだ。


"全然悪くない。そうやって日本語で話しかけてくれると私嬉しい。ありがとう。"


また、言ってくれた。

俺の欲しかった言葉。

否定しないでいてくれる。


あまりに嬉しかったので思わず抱きついた。


だけどAさんは "あ、日本人はそういう表現しないので。" と、何とも塩な対応で離れて行った。

しかも無表情で。



でも本当に嬉しかったな。

俺は誰とでも仲良くしたい喜ばせたいって思うんだ。

やっぱり楽しい方が好きだから。


だけど欲しい言葉を貰えるのが、こんなにも胸がいっぱいになるなんて知らなかった。

喜んでる皆はこんな気持ちなのかな？


こんな風に抱きしめたいって思うのかな？


一瞬だったけど俺の腕の中にいたAさん。
俺達、仲良くなれるよね？

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