不滅の愛を 2【煉獄杏寿郎】

60.凛としたあなたに ページ10

〈ただいまより、

　高等部有志対抗リレーがスタートします。

　今年度は部活の有志メンバーや、友達同士の有志メンバー

　チームに加え、教職員チームが参加します。〉


　
　有志対抗リレーは体育祭の目玉種目の一つである。

　普通のチーム対抗リレーももちろん見応えがあり、

　興奮する競技だが、この有志対抗リレーは

　少し砕けた感じで、明るく楽しく部活のメンバーが

　その競技の道具を持って走ったり、

　友達同士で仮装して走ったりと毎年面白い。
　


　教職員も普通に走ったら面白くないと言い、

　"日本と言えば侍だ！

　俺が作るから、手作りの甲冑を着て走るぞ！"

　という、歴史教師の杏寿郎さんの提案が押されたが、

　さすがに手作りの甲冑は無理と却下され、

　先生たちは袴を着て走ることになった。



　あのあと急いで着替えを済ました杏寿郎さんは

　凛とした立ち姿で校庭に立っている。

　どうやら第4走者のようだ。



　先に来ていた冨岡先生は、

　うっかり着替えるのを忘れてたようで、

　伊黒先生にネチネチ言われながら着替えに行っていた。



「A先生！

　先生たちかっこよすぎない！？袴着て走るの！？」



「そうみたいよ。

　慣れていないだろうから、

　転んで怪我しなければいいけど…」



　興奮冷めやらない様子の女子生徒二人。


　
　正直なところ、私も袴姿の杏寿郎さんに

　胸を高鳴らせている。


　だって、素敵するのだもの。



「有志対抗リレーは6人でひとチームなんですね！」



「そうだね。400メートルリレーだから、

　50メートルを走る人が4人、

　100メートルを走る人が2人で、

　それはチーム内で好きに決めるみたいだよ。」



　風が心地よく髪を揺らし、私の熱くなった頬を撫でる。


　私は誰にもこの胸の音を聞こえぬようにと

　
　そっと左手を胸に当てた。

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