不滅の愛を 2【煉獄杏寿郎】

59.女の内緒話 ページ9

「ねえ、聞いた？」


「なになに！？」


「次のリレー、先生たちも走るみたいだよ！」


「そうなの！？

　煉獄先生も走るのかな？」


「走るんじゃない？」


「楽しみすぎる！絶対かっこいいよ〜！

　あ！冨岡先生いるよ！第一走者だ！

　冨岡先生もかっこいいよね。

　スカートの丈の話はしつこいからそこは嫌だけど！」


　高等部2年生の女子生徒二人は


　保健係の仕事で来てくれていて


　テント内の席に腰をかけて話をしている。


　やはり煉獄先生はモテるよね。

　
　性別関係なく彼は人気だ。


「ねえ、A先生はどっちがタイプ？」


　不意に話を振られて慌てる。


「え！？どっちって！？」



「煉獄先生と冨岡先生！

　どっちがタイプ？」



「え〜」



　二人の熱い眼差しが眩しい。


　こういう話題、難しいんだよなあ。




「先生は…



　どちらも好きかな。


　熱心な煉獄先生も、冷静な冨岡先生も！」



　私の答えに二人は口を尖らせる。



「も〜、先生！

　二人はずるいって〜！」




「楽しそうだな！何の話だ？」



　不意に背後から声をかけられた。



「きょ…煉獄先生！」




「あ、煉獄先生だ！

　秘密ー！

　私たちとA先生の内緒の話ですよ〜！」



　生徒がそう言うと、

　杏寿郎さんは眉を上げて丸い目をする。


「そうなのか！

　仲間に入れなくて残念だ！」


　残念と言いつつも、顔は微笑んでいる。


「煉獄先生、もうリレー始まっちゃいますよ！

　ほら急いで！急いで！」


　女子生徒二人が煉獄先生の背中を押して急かす。


　すると杏寿郎さんは一度私の方を振り返り、


　優しく目を細めて


　声を出さずに口を動かす。








　"見ていて"








　しっかり読み取れたその言葉に



　私は一人頬を染めた。











　

60.凛としたあなたに→←58.晴天からの雫

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す