不滅の愛を 2【煉獄杏寿郎】

91.愛しの眠り姫 ページ41

〈杏寿郎 side〉


「廣屋先生、

　君のノートを見れば

　君が一体どんな人物なのかよく分かる。

　廣屋先生は勉強熱心で向上心がある。」


　俺は彼の肩に手を置き、まっすぐ見つめる。


「君には良いところがたくさんあるんだ。

　君が今回の過ちを反省し、

　そしていつか立派な教師になることを俺は信じている。


　君ならきっと大丈夫だ。」




　俯いた彼は肩を震わせ泣いていた。



「…ごめん…なさい。

　…ごめんなさい。

　考えが足りなかった…

　俺は…自分のことばかり考えて…。」




「さあ、涙を拭いて顔を上げて。」


　俺は彼にハンカチを差し出す。


「…ありがとうございます。


　煉獄先生に酷いことをしてしまいました。」



「手紙の事か？」


「…はい。本当にごめんなさい。」


　泣き腫らした廣屋先生は

　鼻まで真っ赤になってしまっていた。



「もう気にするな！


　…ただ、ひとつ君にお願いがあるんだ。」



　俺はそっと人差し指を自身の唇に当てて彼に告げた。





「今回のこと、Aには何も言わないように。」




「…えっ、でも…」




「この手紙もメモも彼女には見られてはいない。


　Aは君のことをよく気にかけていた。

　今回のことは知らない方が幸せだろう。


　もし、思いの丈を伝えるのなら直接言うように！」




「煉獄先生…」



「無論、負ける気はないが、

　好意を伝えることを止める権利はないからな！」



　秋の夜風が

　熱くなった心を少しずつ落ち着かせ、

　次第に彼の表情も柔らかくなる。
　




「先生は眩しいくらいに…


　かっこいいですね。


　悔しいけれど…


　あなたは男の俺でも


　惚れてしまうくらいかっこいいです。」




　廣屋先生はそう言うと


　もう一度謝罪とお礼を言い、社会科準備室を出た。







　さて、そろそろ愛しの眠り姫を迎えに行こう。



　


　
　
　

　

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