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90.本当の愛 ページ40

〈杏寿郎 side〉

 あたりは夕闇に包まれ、

 二人の影が悲しくのびる。



「あなたみたいに…

 なんでも上手くいく人ばかりじゃない!

 俺は何年もの間、彼女を思い続けていた!

 あなたより昔から俺は…」



「なんでも上手くいく…か。」



「…なんですか?」



 俺はおもむろに外を眺めた。


 空には暗闇の中を動かずに光り輝く北極星。



「君がどれほどAを想っていようと、

 Aが俺を信じて愛してくれる限り、

 俺は彼女を手放す気は全くない。」



「随分と自信があるのですね。」



「そう見えるか?」



 俺はそういうと、

 廣屋先生の手を取り、自身の胸に当てた。



「聞こえるか?


 情けないことに、彼女のこととなると

 気持ちが高揚したり、落ち込んだり…

 心は乱れて仕方ない。


 今だって正直不安になることもある。」



 廣屋先生は眉を上げた。


 俺は微笑んで彼に告げる。



「無論、彼女への気持ちは誰にも負けない自信はある!


 しかし、彼女に降りかかる出来事に対しては

 自信があるように見せているだけ。


 俺が不安がっていては、Aも不安になるだろう?」



「…煉獄…先生」



「廣屋先生、君は素晴らしい先生だ。

 だが、今回のことは一歩間違えれば

 事件沙汰になりかねない。

 どういうことか分かるか?」



 廣屋先生は眉を下げて、目に涙を溜める。



「…はい。」



「好きな気持ちはよく分かったし、

 その思いは大切なものだ。


 俺もそれなりに経験はしてきたし、

 失敗もしてきた。

 だから偉そうなことは言えないが、

 人生の先輩として言わせてもらう。



 君は今回の件に関して自分がされたらどうか考えたか?」



 彼の目から涙がポロポロとこぼれ落ちる。



「…いえ。」



「好きな人を怖がらせたり、

 困らせることは良いことではない!

 本当の愛とは、相手の幸せを願うことだと俺は思う。」




「本当の愛…?」



「うむ。

 俺は、Aの隣が俺でないとしても

 彼女が笑顔で幸せでいられるのであれば

 構わないと思っている。



 愛する人には


 最高の笑顔で笑っていて欲しいからな!」




 秋の風が金木犀の香りを運んで


 俺の髪を揺らしていた。


 

 
 

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設定タグ:煉獄杏寿郎 , 鬼滅の刃 , 夢小説   
作品ジャンル:アニメ
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狐姫(プロフ) - 映画好き人間さん» 楽しんでいただけて光栄です!質問についてですが、お褒めにあずかり恐悦至極に存じますが、全くの一般人です。空想妄想で物語を作るのが好きなので、浮かんだ言葉や設定を繋ぎ合わせております。本当、勿体無いお言葉をありがとうございます。 (7月27日 10時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)
映画好き人間 - 毎日楽しく読ませていただいてます。作者さんの書く煉獄さんは本物の煉獄さんで大好きです。内容も素敵ですし、胸をときめかせながら読んでます。単純な質問なのですが、もしかして小説家ですか? 小説の内容も表現も凄くて、売られてる小説ぐらい上手ですので……。 (7月26日 13時) (レス) @page48 id: f9c87e3b18 (このIDを非表示/違反報告)
狐姫(プロフ) - nkmrさん» こちらこそ、お読みいただきありがとうございます!寒い時期の温泉良いですよね( ˊᵕˋ ) 続編も引き続きお楽しみください! (2021年12月30日 10時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)
nkmr(プロフ) - 年末の忙しい時期に更新ありがとうございます。続編も楽しみにしてます(・◡・)私も先週温泉に行ったので情景が浮かんでより物語に入り込んじゃいました(*´꒳`*) (2021年12月30日 2時) (レス) id: 1ab27b7589 (このIDを非表示/違反報告)
狐姫(プロフ) - みいさん» みいさん、いつもありがとうございます!デレてもらえるなんて嬉しいです。こっそりデレちゃってください( ˊᵕˋ ) (2021年12月19日 15時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:狐姫 | 作者ホームページ:https://mobile.twitter.com/kohime_yume  
作成日時:2021年12月1日 20時

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