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88.心の炎刀 ページ38

〈杏寿郎 side〉


 教育実習が終わる1日前のこと。


 俺は実習生の廣屋先生に用があり、彼を探していた。



 職員室にも、社会科準備室にもいない…となると、



 まずい…!!!




 俺は社会科準備室を勢いよく飛び出すと、


 ある場所へと向かった。






 そこで目にしたものは、許し難い光景だった。







「…やはり、君だったんだな。」



「…何のことですか?」



「とぼけるな。」



 彼は机に伏せて寝てしまっているAの近くに座り、

 頭を撫でている。



「まずは彼女から手を離せ。」


 俺が低い声で告げると、一瞬怯んだ顔をして

 おずおずと手を引っ込めた。



「廣屋先生、少し話をしようか。

 ついてこい。」



 俺がそう告げると、彼は大人しく後をついてきた。


 誰もいない社会科準備室へと入ると、

 廣屋先生を椅子に座らせた。


 太陽は西に傾き始めていた。




「君のバッグについている

 小さなレザーのキーホルダー。


 珍しい家紋をあしらったものだったのでな、

 見た瞬間すぐに思い出した。


 君、夏の頃に水族館でAにわざとぶつかったな?」



 俺の言葉に廣屋先生は目を見開く。



「忘れもしない。

 あの時、俺は前からやってくる男とAが
 
 ぶつからないように自分の方へと引き寄せたのに、

 男は必要以上にこちらへと近づいたからな。」

 

 廣屋先生は黙ったまま俯いている。



「それと、これ。」



 俺は机の上に一通の手紙と、2枚のメモ用紙を置いた。

 それを見ると彼は目を泳がせた。


「まずは、この手紙に関してだ。

 これは実習が始まる随分前に

 俺の家の郵便受けに入っていたものだ。」


 切手のない封筒の中に入っていた手紙を広げる。
 

 真っ白な便箋に、黒のペンでこう書かれていた。



 "彼女は俺の。

 俺が先に見つけたんだ。彼女から手を引いて。"




「はじめは心当たりもなく、

 警戒しながらも頭の隅にしまっていた。

 その間、怪しいこともなかった。」



 俺はおもむろに二つのメモ用紙を手に取ると


 中を開いて彼に見せる。

 



「こちらのメモ用紙は、実習が始まって少しした頃、

 俺がたまたま職員室でAの机の前を通ったときに

 机から落としてしまったものだ。」

89.繋がる点と点→←87.力強い涙声



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設定タグ:煉獄杏寿郎 , 鬼滅の刃 , 夢小説   
作品ジャンル:アニメ
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狐姫(プロフ) - 映画好き人間さん» 楽しんでいただけて光栄です!質問についてですが、お褒めにあずかり恐悦至極に存じますが、全くの一般人です。空想妄想で物語を作るのが好きなので、浮かんだ言葉や設定を繋ぎ合わせております。本当、勿体無いお言葉をありがとうございます。 (7月27日 10時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)
映画好き人間 - 毎日楽しく読ませていただいてます。作者さんの書く煉獄さんは本物の煉獄さんで大好きです。内容も素敵ですし、胸をときめかせながら読んでます。単純な質問なのですが、もしかして小説家ですか? 小説の内容も表現も凄くて、売られてる小説ぐらい上手ですので……。 (7月26日 13時) (レス) @page48 id: f9c87e3b18 (このIDを非表示/違反報告)
狐姫(プロフ) - nkmrさん» こちらこそ、お読みいただきありがとうございます!寒い時期の温泉良いですよね( ˊᵕˋ ) 続編も引き続きお楽しみください! (2021年12月30日 10時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)
nkmr(プロフ) - 年末の忙しい時期に更新ありがとうございます。続編も楽しみにしてます(・◡・)私も先週温泉に行ったので情景が浮かんでより物語に入り込んじゃいました(*´꒳`*) (2021年12月30日 2時) (レス) id: 1ab27b7589 (このIDを非表示/違反報告)
狐姫(プロフ) - みいさん» みいさん、いつもありがとうございます!デレてもらえるなんて嬉しいです。こっそりデレちゃってください( ˊᵕˋ ) (2021年12月19日 15時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:狐姫 | 作者ホームページ:https://mobile.twitter.com/kohime_yume  
作成日時:2021年12月1日 20時

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