検索窓
今日:3 hit、昨日:10 hit、合計:77,540 hit

78.非の打ち所がない ページ28

保健室に戻った私は

 机の上に置いてあった

 空の弁当箱が入った手提げを手に持ち、

 学校を後にした。



 行きつけのスーパーで買い物を済ませると、

 車をゆっくり発進させた。



 赤信号で止まった時、

 私はあることを考えていた。




 車は黄色に塗り替えられた銀杏並木を抜けて

 鱗雲が空泳ぐ青空の下に出た。



 杏寿郎さんの家の駐車場に着くと、

 私は携帯を取り出し、杏寿郎さんにメッセージを送る。



 "お疲れ様です。

 今日は遅くなるとのこと。

 疲れて帰ってきて、夕飯作るのも大変だと思うので、

 杏寿郎さんのお家にお邪魔して、

 夕飯を作らせてもらってもいいですか?"



 メッセージを送ると、

 数分後、車内に着信音が鳴り響いた。
 



「A、連絡ありがとう!

 夕飯…お願いしていいのか?」



「もちろんです!

 帰りが遅くなって冷めてしまったら

 電子レンジであたためて食べてくださいね。」



「うむ。本当にありがとう。とても助かる!」



「無理はしないでくださいね。」



「ああ!では、そろそろ戻るな!

 明日、廣屋先生の初めての授業だからな。

 彼も授業準備に気合が入っているんだ。

 素晴らしい実習生で感心している!」


 私は車から降りると、

 杏寿郎さんの家の鍵を開ける。



「ふふっ。杏寿郎さんも気合が入っていますね!

 では、また明日学校で。」


 家に上がり、

 テーブルの上にお弁当箱の入った手提げを置く。


「うむ。また明日な。」


 お弁当箱を洗おうと、手提げを開くと、

 一枚の付箋とともに何か入っていた。



「A」



「はい?」



「愛している。」



「愛しています。」



 そこに入っていたのは、


 "ごちそうさま。

 幸せなお昼のひと時をいつもありがとう。"


 という言葉が書かれた付箋と


 学校の近くで有名なケーキ屋さんの焼き菓子だった。




 こんな些細な気遣いまでしてしまうあなたは


 本当に非の打ち所がない。
 

79.優しい青→←77.面倒見の良い人



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (140 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
334人がお気に入り
設定タグ:煉獄杏寿郎 , 鬼滅の刃 , 夢小説   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

狐姫(プロフ) - 映画好き人間さん» 楽しんでいただけて光栄です!質問についてですが、お褒めにあずかり恐悦至極に存じますが、全くの一般人です。空想妄想で物語を作るのが好きなので、浮かんだ言葉や設定を繋ぎ合わせております。本当、勿体無いお言葉をありがとうございます。 (7月27日 10時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)
映画好き人間 - 毎日楽しく読ませていただいてます。作者さんの書く煉獄さんは本物の煉獄さんで大好きです。内容も素敵ですし、胸をときめかせながら読んでます。単純な質問なのですが、もしかして小説家ですか? 小説の内容も表現も凄くて、売られてる小説ぐらい上手ですので……。 (7月26日 13時) (レス) @page48 id: f9c87e3b18 (このIDを非表示/違反報告)
狐姫(プロフ) - nkmrさん» こちらこそ、お読みいただきありがとうございます!寒い時期の温泉良いですよね( ˊᵕˋ ) 続編も引き続きお楽しみください! (2021年12月30日 10時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)
nkmr(プロフ) - 年末の忙しい時期に更新ありがとうございます。続編も楽しみにしてます(・◡・)私も先週温泉に行ったので情景が浮かんでより物語に入り込んじゃいました(*´꒳`*) (2021年12月30日 2時) (レス) id: 1ab27b7589 (このIDを非表示/違反報告)
狐姫(プロフ) - みいさん» みいさん、いつもありがとうございます!デレてもらえるなんて嬉しいです。こっそりデレちゃってください( ˊᵕˋ ) (2021年12月19日 15時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:狐姫 | 作者ホームページ:https://mobile.twitter.com/kohime_yume  
作成日時:2021年12月1日 20時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。