不滅の愛を 2【煉獄杏寿郎】

76.実習開始 ページ26

「みなさん、はじめまして！

　今日から3週間、教育実習でお世話になる

　廣屋 稜太(ひろや りょうた)です。

　身体を動かすことが大好きなので、

　休み時間は是非一緒に遊んでください！」



　運動会から1ヶ月近くが経ち、

　紅葉や銀杏はさらに色をつけた。



　朝会で体育館に集められた私たちは

　今日から始まる教育実習の実習生の挨拶を聞いていた。


　
　指導教諭に杏寿郎さんがつくから、

　今日から彼も忙しくなる。





　体育館から保健室へと戻る時、

　背後から声をかけられた。


「A先生！」



　声をかけてきたのは杏寿郎さんだった。



「お弁当、ありがとう！

　朝忙しいのにすまないな。」



「いえ！

　煉獄先生が喜んでくださるので、

　私も嬉しくて頑張れちゃいます。」



　私がそう言うと、杏寿郎さんは優しく笑う。



　ここ最近は早起きをしてお弁当を作るようになった。

　朝は得意な方ではないけれど、彼のためなら

　いくらでもできちゃうのが不思議なくらい。


　流石に直接渡しているところを他の誰かに見られるのは…

　と思い、出勤後、私はいつも杏寿郎さんの職員室の椅子に

　そっと見えないように置いている。



「いよいよ今日から実習ですね！」


「うむ！とても楽しみな青年だ！」


「ふふっ。

　担当学級は誰先生になったのでしたっけ？」


「確か悲鳴嶼先生だと聞いた！

　俺より経験のある先生だから安心だな！」



　実習から学ぶことは多い。

　大学の講義では学ばない生きた体験をすることができる。



「今日はほとんど授業の参観といった形ですね。」


「そうだな！自分の授業を見られるのはなんだか

　少し照れ臭いが、俺も気合を入れて頑張る！」


　杏寿郎さんは拳を握ってまっすぐ前を向く。


「煉獄先生は生徒からの信頼もありますし、

　授業も評判だと聞きました。

　保健室でもよく話題になりますよ。

　応援していますね！」



　私がそう言うと、杏寿郎さんは微笑んだ。



「君にそう言ってもらえるだけで

　力がみなぎってくる！ありがとう！」

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