不滅の愛を 2【煉獄杏寿郎】

68.陰る月 ページ18

　重ねられた手から熱を帯び、

　全身に巡っていく。



「おい！お前もう酔ったのかよ！

　耳まで真っ赤だぞ！」


　向かいに座っている宇髄先生が

　私の顔を指差して笑う。


「だ、大丈夫です！

　まだまだ飲めます！」


　私はグラスに入っていたお酒を一気に流し込んだ。


　すると、その手を杏寿郎さんに制止される。


「こら、そんな飲み方は危険だぞ！

　水を飲みなさい！」


　あ、これは本当に怒っている時の杏寿郎さんの目だ。


「…はい。すみません。」


「うむ！」






　話に花が咲き、宴は大盛り上がり。

　宇髄先生は酔って歌い始めるし、

　冨岡先生は隅で居眠りを始める。


　飲みすぎたかなあ。

　お手洗いに行きたくなってきた。


　私は隣にいる杏寿郎さんに声をかける。


「お手洗いに行ってきます。」


「うむ。一人で大丈夫か？」


　杏寿郎さんの顔を見ると、

　今日は彼も酔っているようで目がとろんとしている。

　頬もほんのりと赤い。


「大丈夫です。」


　立ち上がると少しふらっとしたが、

　私は一人でお手洗いへと向かった。



　お手洗いを済ませると、

　少し夜風に当たりたくて、私はお店の外に出る。


　長椅子が置いてあったので、

　そこに腰をかけるとだんだん瞼が重くなってきた。



「A？」



「…ん」


「おい、ここで寝るな！起きろ！」


「ん〜」



　身体を揺さぶられる。


　聞き覚えのある声と匂い。



「起きないと、襲っちまうぞ。」



「…宇髄先生ですね？

　ふふっ、あなたはそんなことしない…

　昔も…なんだかんだ支えてくれた…」



　私は壁に体重を預けて薄く目を開ける。


「昔？お前さん何言ってんだ？」



「へへっ…」

　

　熱い体に夜風が気持ちいい。



「どんな俺を見ているのか知らねえけど、

　悪いが俺は本気だぞ？」



「…またまた〜」


　私は眠くなってきて再び目を閉じる。




「お前、男なめすぎ。」




　月明かりが急に大きな影に覆われた。

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