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10.ラムネ ページ10

すず風が私の髪を揺らし


 私は汗をかきながらも


 あまりの心地よさに目を閉じる。


 遠く聞こえる子どもたちの笑い声や、


 セミの鳴き声。


 もうすぐ、夏が終わる匂いがする。


「A!待たせてしまってすまない!」


 私の名前を呼んでまっすぐに駆けてくる大好きな人。


「いえ!」


「はい、これ。」


 首筋には汗が流れている。


「ラムネですね!」


「うむ!夏っぽくて良いと思ってな!

 あそこの屋台で売っていた!」


「ありがとうございます。」


「あけてあげよう!」


 スッキリとした味にしゅわしゅわと口の中で泡が弾ける。




 私はラムネの瓶を太陽にかざす。

 
 カランっと音を立てて揺れるビー玉は

 
 同じ水色の世界に閉じ込められたまま。


「このビー玉も外の世界では

 確かな色を放つのでしょうね。」


 なんとなく呟いた言葉に

 杏寿郎さんは目を丸くして微笑む。


「本当におもしろいことを言う。

 君のその世界に俺はいつまでも入っていたいと思う。」


「え!?私何か変なこと言いました!?」


 杏寿郎さんの顔を見ると、満面の笑みで返された。


「いや!君の見ている世界を

 この先も俺に教えて欲しいということだ!」


 よく分からないけど、

 なんだか嬉しそうな顔をしているからいいか…。



「知っているか?


 ラムネの中に入っているのは実はビー玉ではないんだ。」





「そうなのですか?私はてっきりビー玉かと。」


 杏寿郎さんはラムネの瓶の中にある


 丸い玉を指さすと私に告げる。


「これは"A玉"と言うんだ。」


「え?BじゃなくてAってことですか?」


 どういうことだろう?


「ラムネは炭酸飲料だからな!

 昔はコルク栓を使って蓋をしていたようだが、

 どうやら、それではうまく密封できなかったらしい。

 そこで、外国のある人が、

 ガラス玉を用いた方法を考えたそうだ!」


「へえ〜、でも、それがなぜA玉なのですか?」


 杏寿郎さんは口角を上げて微笑む。


「ラムネの栓をするために作ったガラス玉の中でも

 瓶の蓋をするのに良いサイズのものを

 "A玉"、そうでないものを"B玉"としていたらしい。」


「知らなかったです!」


「ラムネの瓶に適さなかったB玉を

 子どものおもちゃとして売り出したのが

 皆がよく言う"ビー玉"のルーツというわけだ!」



「だから、この中にあるのはA玉なのですね!」

 
 

 

 




 

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設定タグ:煉獄杏寿郎 , 鬼滅の刃 , 夢小説   
作品ジャンル:アニメ
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狐姫(プロフ) - nkmrさん» いつもコメントありがとうございます!続編も引き続きお楽しみいただけるよう、頑張りますね( ˊᵕˋ ) (2021年12月1日 20時) (レス) id: d8f3f4bc3f (このIDを非表示/違反報告)
nkmr(プロフ) - 天元さんの発言に、新しい登場人物の匂わせで余計に続きが気になる終わり方…(*´꒳`*)続編も楽しみにしてます! (2021年12月1日 0時) (レス) id: 1ab27b7589 (このIDを非表示/違反報告)
狐姫(プロフ) - 柚葉さん» 柚葉さん!私もなんとか乗り越えました。コメントありがとうございます。その願いを胸に物語を書き続けますね! (2021年11月29日 18時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)
柚葉(プロフ) - 最終話、なんとか乗り越えました。狐姫さんのお話の煉獄さんと夢主さんは、不滅であることを願っています!! (2021年11月29日 5時) (レス) @page45 id: 33c3d87eb8 (このIDを非表示/違反報告)
狐姫(プロフ) - nkmrさん» nkmrさん、コメントありがとうございます!アニメ版、まもなく最終話ですね。まさに私の物語で描く煉獄さんは、あの優しい雰囲気をイメージして書いているので、それが伝わっていてとても嬉しく、感無量の極みでございます。最終話、一緒に乗り越えましょうね。 (2021年11月28日 22時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:狐姫 | 作者ホームページ:https://mobile.twitter.com/kohime_yume  
作成日時:2021年11月15日 18時

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