不滅の愛を【煉獄杏寿郎】

40.帰してはやらない ページ40

「杏寿郎さん？」


「ん？」


　先程から薄々気づいてはいたが、

　これは明らかに私の家に向かっていない。


「あの…どちらへ？」


「俺の家だ。」


「え？でも…」


　踏切の前で停車すると、通りすぎていく電車の明かりが

　チカチカと私たちを照らす。



　杏寿郎さんは私の顔を見つめると、妖しく微笑む。



「君がちゃんと俺に甘えられるようになるまで…

　俺の恋人だとしっかり自覚するまで…

　今夜は帰してはやらない。」



　その艶やかな目からは逃れることができない。



　杏寿郎さんの家に着くと、

　彼は先に降りて助手席のドアを開け、

　私の手をとって玄関へと向かう。

　
　家の中に入り、玄関の扉を閉めると

　暗い部屋の中、扉に押し付けられてキスを落とされた。



「…ん！？」



「しーっ。


　唇だけに集中して。」



　優しいものから

　次第に深まっていくキスに

　私の頭は溶かされていく。



　苦しいけど、気持ちいい。



　そっと唇が離されると、私は杏寿郎さんの顔を見つめる。



「その顔、そそられるな。」



　杏寿郎さんは小さな声で呟くと、


　私を横抱きにして寝室へと向かう。



　ゆっくりとベッドの上に寝かされて


　杏寿郎さんは私の上に跨ると


　ネクタイを解いて、シャツのボタンを外し始める。



　その艶かしい所作に目を奪われてしまい、


　視界から入る情報と、


　先程のキスで少し上がった吐息の音のせいで


　私の心拍数はどんどん上がる。



　シャツを脱ぎ終えた杏寿郎さんは

　私に覆い被さると、

　頭を撫でて鼻先と鼻先がつくくらいの距離で

　目を瞑ったまま私に問う。


「体調は大丈夫か？

　…脱がせても構わないだろうか？」


　私は熱くなる身体に正直に従う。


「はい…」



　スッと上半身を起こした杏寿郎さんは

　私の胸元に手を伸ばすと、

　ブラウスのリボンを解く。

　そのままボタンに手をかけて、

　ひとつひとつ丁寧に外していく。



　露わになった身体は燃えてしまうほどに熱く

　あなたを求める。



　杏寿郎さんは一度触れるくらいのキスを私に落とすと

　スカートを下ろした。



　彼の指先が私の身体をゆっくりとなぞる。




「…痩せたな。」



「私は少し痩せた方が良いのです。」




「どんな君でも綺麗だ。

　ただ、疲労で痩せるのはやめてくれ。」




　そう言うと、杏寿郎さんはまた深く深く唇を重ねる。

　
　

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