スプリング・ノート/shao ページ1
上履きの底がぱたぱたと廊下の床を叩く音を聞いて、口に入れたばかりの卵焼きをよく噛まないまま飲み込んでしまった。
机を挟んで向かいに座っている大先生の話を遮るようにして立ち上がり、急いで教室の前のドアへ近付く。窓になっている部分から廊下の方を覗くと、両手で一クラスぶんの教材を抱えてこちらに向かって来る彼女の姿が目に入った。よし。深く息を吸って気持ちを整え、扉の取っ手に指を掛ける。あくまでも自然に。たまたまクラスメイトの手が塞がっているのに気が付いたから、純粋な親切心で扉を開けてあげる。これでいこう。そう、別に深い意味は無いのだ。
「あ……ありがとう、ございます」
「ん、うん──あ、それ世界史のワーク？」
「は、はい。先生に頼まれて……」
「昼休みやのに、教科係って大変やな」と言うと、彼女は曖昧に微笑んでそっと頷いた。そのまま俺の横を通って教卓に向かい、冊子の山を置いて自分の席に戻る。あ、今なんかシャンプーのめっちゃ良い匂いした。あかん、可愛い。匂いだけで可愛いってなんや、訳分からん。
言いようのない感情が混ざってぐちゃぐちゃになっていく心を抑えるように、胸に拳を当てる。と、いつの間にか近くに来ていた大先生がにやにやと笑いながらこちらを覗き込んできた。
「へー、シャオちゃん、Aちゃんのこと狙っとったんやなあ。あんま目立たんけど、顔は結構可愛いよな」
「……ちょっかいかけんなよ、大先生」
「もー、幾ら僕でも流石にそれはせんよ。友達やろ？」
「信用出来ねえ……」
あと名前で呼ぶなよ、俺もまだ苗字呼びなのに。思わず口をついて出そうになった言葉を、格好悪いと飲み下す。いつもなら相変わらずだと流せる友人の性質も、彼女に関係していると無性に気に入らなくて。改めて"これ"の厄介さを思い知った。
まだ何か喋っている大先生を無視して席に着き、クラスの女子達と話している彼女に視線をやる。昼を一緒に食べないかと誘われているみたいだ。少し困ったようにはにかみながら頷く彼女はやっぱり可愛くて、心臓が一際大きく跳ねた。
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万代(プロフ) - ミイミイー☆（旧アカ3）さん» 初めまして。嬉しいお言葉、有難う御座います…！リクエストの方ですが、只今私生活が多忙でご期待に沿えるだけのものを書く余裕がないため、今回は見送らせて頂きます。大変申し訳御座いません…更新自体は時々しようと思いますので、お暇な時にでも是非お越し下さい。 (2020年5月22日 22時) (
レス) id: 41e9c26b05 (このIDを非表示/違反報告)
ミイミイー☆（旧アカ3） - 応援してます！これからも更新頑張ってください！（ちなみに私は箱推しのemさんGirlです） (2020年5月22日 18時) (レス) id: 0f788aa618 (このIDを非表示/違反報告)
ミイミイー☆（旧アカ3） - はじめまして！文章の語彙力と表現力が凄い素敵でした！リクエストいいですか？もしよろしければ疲れた夢主を甘く癒やすemさんとか、ロールキャベツ系男子のemさんとかお願いします！出来なかったらすいません… (2020年5月22日 18時) (レス) id: 0f788aa618 (このIDを非表示/違反報告)
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