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あれから一ヶ月後。
今日は部活が長く、疲れきって何とか家に帰った私は、ご飯を食べ、早めに寝る準備を整えた。
二十一時半頃、もう今日は寝に行こうかとリビングを出ようとしたところで、お母さんに声を掛けられて、小柄なダンボールを渡された。
何だろう、と箱を見てみれば、送り主の欄には黒尾先輩の名前があって。
さっきの疲労感はどこへやら、足取り軽く、自分の部屋に入ってダンボールを机の上に置く。
ドキドキと期待で高鳴る胸を抑えつつ、ガムテープをぺりぺりと剥がす。
開けると同時にふわりといい香りがして、箱の中には綺麗な色のアロマキャンドルがひとつと、薄ピンク色の封筒がひとつ入っていた。
封筒についているシールを剥がして斜めに傾けると、中から銀色のボタンがコロコロと転がってきて、私の手のひらにのる。
そしてもうひとつ、便箋を取りだした。
それには、達筆な黒ボールペンの字で、『お誕生日おめでとう』と書かれている。
ぶわっと嬉しさが胸の中いっぱいに広がって、私はスマホを手に取り、電話をかける。
…出るかなぁ。
そんな少しの不安の後、プツリとコール音が切れて、私の名前を呼ぶ先輩の声が聞こえた。
「あ、黒尾先輩。今、大丈夫ですか？」
『うん、大丈夫。どしたの？』
そこまで言うと、彼は、あ、と声を零す。
『届いた？ 誕プレ』
「届きました」
『十六歳一ヶ月の誕生日おめでとう』
手のひらでコロンと転がるボタンを眺めながら、ゴロっとベッドに転がった。
「ありがとうございます。ぴったり一ヶ月後なんて、粋ですね」
電話の奥で、彼はだろ？と言いながら楽しげに笑う。
私もつられて笑いを零して、二人で笑い合った。
それから二人でいろんなことを話した。
最近起きたことだとか、学校のことだとか。
つい二日前にも電話したはずなのに話すことは全く尽きなくて、気づいたら電話をして一時間も経っていた。
「…先輩、もう一時間経っちゃいました」
『え、マジ？ めっちゃ喋っちゃったなぁ』
いつの間にか仰向けに寝転んでいた私は、手を天井に伸ばして第二ボタンを眺める。
「黒尾先輩」
『ん？』
「好きです」
テンションが上がっているのか、いつもよりも少しだけ素直になれた。
ほとんどそんなことを言わないからか、彼からは驚いたような焦ったような声が聞こえてくる。
『…え、なっ、急にどうしたの！』
「言いたくなったので」
『…もっかいお願いシマス』
「営業終了です」
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るわ - この作品大好きです……！クロかっこよい！更新頑張ってください！ (2022年5月22日 22時) (
レス) @page36 id: b608b76010 (このIDを非表示/違反報告)
mifulu(プロフ) - kanaさん» ありがとうございます。まだ本格的に再開はできないのですが、もうすぐ更新再開出来ると思います。長い間お待たせしてすみません( .. ) より楽しんで頂けるよう頑張ります！ (2021年3月8日 0時) (レス) id: 8a345cf79f (このIDを非表示/違反報告)
kana(プロフ) - おはようございます！このお話大好きです！キュンキュンします(*´-`*)受験頑張ってください！(^^)また更新される日を楽しみに待っています！(*^^*) (2020年7月31日 6時) (レス) id: d202a80bf0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：mifulu | 作成日時：2020年6月5日 18時
