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なんだかんだで電車を降りて、黒尾先輩と研磨先輩のお家の方へ向かう。

他愛のない会話を交わしつつ、荷物を置かせて頂いている研磨先輩のお家にお邪魔して、服を着替えた。

沢山お世話になった研磨先輩のお母さんに何度もお礼を言って、来た道を戻る。

この辺りは住宅街だから特に何も無いということで、新幹線の駅にも近い、電車の駅の方へと足を進めた。

もうすぐおやつ時である頃、とりあえずお腹が空いたからご飯でも、と適当に入ったお洒落なカフェはとても素敵で、東京のレベルを思い知った。


「ここ、当たりだったな」


窓際の二人がけのテーブルで、食後のアイスティーを口に運びながら、先輩はそう言う。


「そうですね。ご飯も美味しかったですし」


そう答えれば、彼は満足気に笑った。

穏やかで柔らかなその表情に私は恥ずかしくなって、ココアを一口飲み、そのまま目線を手元に落とした。

ゆったりとした空気が広がる中で、ほんの僅かに波を打つココアの表面を見つめる。

すると、


「Aちゃん」


と、少しだけトーンの落ち着いた、優しい声で名前を呼ばれてそっと顔を上げれば、


「お誕生日おめでとう」


なんて、頬杖を着いた黒尾先輩が、柔らかくて素敵な微笑みを浮かべた。


…あ、そっか。

今日、私の誕生日か。


朝イチから東京に新幹線で来たり告白をしたりと色々な事があった私は、思わず自分の誕生日を忘れていて。


「ありがとうございます」


そう微笑み返せば、彼は心底嬉しそうに笑ってみせる。


「誕生日プレゼント、何欲しい?」

「別にいりません」

「ホント? 遠慮しなくていいぜ?」


首を横に振るとそう聞いてくれるが、特に何か思い浮かばない。


むしろ、今こうしてデート出来ている事がもうプレゼントみたいなものだし。


そうちゃんと言葉に出来たら可愛いんだろうけど、生憎、そんな事が私には言えるはずもなく。


「遠慮なんてしてません。特に何も浮かばないんです」

「そっか、じゃあ仕方ねぇよな」


と、何だか少ししょんぼりしたように言う黒尾先輩。

私から先輩に何もあげてないしなぁ、なんて思いつつ、自分の欲しいものを思い浮かべる。


「…あ、」


ふと、自分が欲しいと思ったものがひとつ思い浮かんで、無意識に声を漏らしてしまう。

彼はそんな私の声を聞き逃さず、キラリと目を輝かせて、


「お、何か欲しいもの思い付いた?」


と、私の顔を覗き込んだ。

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るわ - この作品大好きです……!クロかっこよい!更新頑張ってください! (2022年5月22日 22時) (レス) @page36 id: b608b76010 (このIDを非表示/違反報告)
mifulu(プロフ) - kanaさん» ありがとうございます。まだ本格的に再開はできないのですが、もうすぐ更新再開出来ると思います。長い間お待たせしてすみません( .. ) より楽しんで頂けるよう頑張ります! (2021年3月8日 0時) (レス) id: 8a345cf79f (このIDを非表示/違反報告)
kana(プロフ) - おはようございます!このお話大好きです!キュンキュンします(*´-`*)受験頑張ってください!(^^)また更新される日を楽しみに待っています!(*^^*) (2020年7月31日 6時) (レス) id: d202a80bf0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:mifulu | 作成日時:2020年6月5日 18時

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