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そのはちじゅうご ページ41

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何とか目を合わせれば、彼女はハッと息を飲む。


「…やっとこっち見てくれた」


俺がそう言えば、彼女はゆらゆらと不安げに瞳を揺らしながら、俺の目を見つめ返してくれた。


「さっきの…ホント?」

「…嘘を言うために東京まで来たりしません」


今までとは打って変わって、弱々しく小さな声でそう言う。

すると、また顔が赤くなって、ぎゅうっと拳に力が込められるのが分かった。


「ねぇ、Aちゃん」


夢みたいに嬉しくて今すぐガッツいてしまいたくなる。

けれど、緊張からか不安からか、それとも恥ずかしさからか、体を硬くする彼女を怖がらせないように出来るだけ優しい声で名前を呼んだ。


「俺も、Aちゃんのことが好き」


俺のその言葉に彼女がピクっと反応する。

その目は俺を捉えたままゆっくりと見開かれた。

ドキドキとこれまでに無いくらい自分の鼓動が早くなって、声が震えるのがわかる。


「…俺の彼女になってくれませんか」


そう聞くが、彼女は俺の目を真っ直ぐ見つめたまま動かない。

少しの間見つめ合って、彼女は悲しそうに表情を崩した。


「…東京と宮城、ですよ?」


小さく開かれた口から零れたその声は酷く不安げで、俺は掴んでいる手に少しだけ力を込める。


「うん、知ってる」

「…会うのに新幹線で二時間、一万円かかるんですよ?」

「うん、それも知ってる」

「…遠距離なんですよ?」

「うん、分かってる」

「私…きっと、部活のこと優先しちゃいます、よ?」

「分かってる。でも、そんなAちゃんが好きだから」


今にも泣き出してしまいそうな表情で、彼女は俺を見る。


「多分、悲しいことも寂しいことも、普通のカップルより多いと思う。けど、それも乗り越えれるくらい、俺はAちゃんのことが好き」


そこまで言って、最後、ゆっくりと息を吸った。


「…だから、俺の彼女になってくれませんか」


彼女の瞳がゆらゆらと揺れ、ポロポロと涙が溢れ出す。


「…ダメ?」

「…ダメ、じゃなっ」


俺は屈んでいた腰を上げながら、空いている手でぶんぶんと頭をふって涙を流す彼女の頬に手を添えてこちらに向かせる。

片方の頬を包み込んで、ボロボロと際限なく零れる涙を拭えば、彼女は俺の手を引き剥がそうとしてきた。


「もっ…見な、で下さいっ!」

「ヤダ。俺の可愛い彼女の顔、もっと見させてクダサイ」

「…黒尾先輩のばか」


そう言って彼女はまた赤く染まった表情で、恥ずかしそうに俺を睨んだ。

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mifulu(プロフ) - 宇宙。さん» ありがとうございます! そう言って頂けてとても嬉しいです! 他のハイキューキャラの小説もいつか作ろうと思っているので、また読んで頂けると嬉しいです(´˘`*) (2020年6月15日 7時) (レス) id: 78d3fcb26b (このIDを非表示/違反報告)
宇宙。(プロフ) - あの!!最高でした!!黒尾先輩がめっちゃ黒尾でした(?)推しの最高な物語読めて嬉しいです、ありがとうございました。もしよろしければツッキーとか影山とか、あかーしとか、書いてくれると嬉しいです! (2020年6月15日 3時) (レス) id: 68b0101532 (このIDを非表示/違反報告)
mifulu(プロフ) - 伽音さん» ありがとうございます! そのお言葉で、私もニヤけてしまいます笑 これからも楽しんで貰えるような作品をお届け出来るよう、頑張ります。 (2020年6月4日 22時) (レス) id: 856ce52b7f (このIDを非表示/違反報告)
伽音(プロフ) - 面白くて、ニヤケながら86話を一日で読んでしまいました!良い小説ですね!お疲れ様です!これからも応援してます! (2020年6月4日 19時) (レス) id: b1d06a9201 (このIDを非表示/違反報告)
mifulu(プロフ) - ルだ子さん» 嬉しいお言葉、ありがとうございます! 楽しんで頂けたようで幸いです(´˘`*) まだ制作中ですので、もう少しお待ち下さい。 (2020年6月1日 21時) (レス) id: 856ce52b7f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:mifulu | 作成日時:2020年4月26日 18時

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