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そのごじゅうはち ページ14

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自分が顔を顰めてしまったことに、やらかした…と、目を瞑った。

おそるおそる目を開けば、こちらを見つめている黒尾先輩と目が合う。


「…無理すんなよって言ったよな?」


そうニカッと笑う先輩の目は全く笑っていなくて。

あまり感じたことのなかった先輩の威圧感を直に受けて、身がすくんでしまう。


「…無理はしてません。我慢です」


その威圧感から逃れようと、まるで子供が勝ち目のない言い訳を言うみたいにもごもごと呟く。


「我慢することを無理って言うんです」


笑っているようで笑っていない笑みを強くして、黒尾先輩はそう言い放った。

図星を突かれてうっ…と言葉に詰まる私を見て、少し満足気に笑うと、


「どこが悪ぃの?」


と、さっきよりも目線と声を優しくして聞いてくる。


「…お腹と頭が痛い、です」


逆に気を遣わせてしまっていることが情けないし、言葉にしたら余計に痛くなった気がするし、で私は弱々しくそう答えた。

先輩は一瞬目を見張って、それからふわりと私を安心させるように微笑んだ。


「薬は?」


その一連の動作に、この人は体調不良の原因が分かっているのだ、と気づかされてしまう。


「…部屋にあります」

「取りに行ける?」


代わりに行こうか?と尋ねてくれる先輩に、私は恥ずかしさを感じながら首を横に振る。


「一人で取りに行けます」

「じゃあ、とりあえず今から取りに行きな」


試合が終わってからいきます、と食い下がるが、黒尾先輩に優しくたしなめられる。

タイムアウト終了の時間が近づき、ぞろぞろとみんなが動き始める。

先輩はバサッと私に赤いジャージをかけ、言われるがまま腕を通せば、ファスナーを上まで引き上げた。

ふわりと先輩の香りに包まれる。


「俺たちのことは気にしなくていいから、ちょっと休んでこい」


もう一度優しく微笑んで、先輩は猫又監督の元へ。

私の方を見ているので、きっと話してくれているのだろう。

私は一度頭を下げて、出来るだけ邪魔にならないように部屋へ戻る。


手慣れている対応に、心の中はモヤモヤとしていた。

彼女も沢山いたはずで、こんな日の対応なんてきっと先輩には朝飯前なのだ。

そんなことは知っていたはずなのに。


ズキンと痛む胸も、こんな時にこんなことを考えてしまう自分も、心底嫌になる。

何だかさっきよりも痛みが酷くなった気がして。

部屋にへたり込んだ私は、ダボダボで大きな黒尾先輩のジャージに、顔を埋めた。

そのごじゅうきゅう→←そのごじゅうなな



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mifulu(プロフ) - 宇宙。さん» ありがとうございます! そう言って頂けてとても嬉しいです! 他のハイキューキャラの小説もいつか作ろうと思っているので、また読んで頂けると嬉しいです(´˘`*) (2020年6月15日 7時) (レス) id: 78d3fcb26b (このIDを非表示/違反報告)
宇宙。(プロフ) - あの!!最高でした!!黒尾先輩がめっちゃ黒尾でした(?)推しの最高な物語読めて嬉しいです、ありがとうございました。もしよろしければツッキーとか影山とか、あかーしとか、書いてくれると嬉しいです! (2020年6月15日 3時) (レス) id: 68b0101532 (このIDを非表示/違反報告)
mifulu(プロフ) - 伽音さん» ありがとうございます! そのお言葉で、私もニヤけてしまいます笑 これからも楽しんで貰えるような作品をお届け出来るよう、頑張ります。 (2020年6月4日 22時) (レス) id: 856ce52b7f (このIDを非表示/違反報告)
伽音(プロフ) - 面白くて、ニヤケながら86話を一日で読んでしまいました!良い小説ですね!お疲れ様です!これからも応援してます! (2020年6月4日 19時) (レス) id: b1d06a9201 (このIDを非表示/違反報告)
mifulu(プロフ) - ルだ子さん» 嬉しいお言葉、ありがとうございます! 楽しんで頂けたようで幸いです(´˘`*) まだ制作中ですので、もう少しお待ち下さい。 (2020年6月1日 21時) (レス) id: 856ce52b7f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:mifulu | 作成日時:2020年4月26日 18時

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