sept cafe ページ8
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「最近、調子いいね。何か良いことでもあった?」
雑誌の撮影会の休憩中、撮れた写真を見て俺のマネージャーは笑った。
俺は来ていた赤いチェックの上着を脱ぎつつ、
「別に何もないから」
と、笑ってお茶に手を伸ばす。
マネージャーは不服そうにえー、と俺を見て言うと、再び写真へと目を落とした。
「でもな〜、最近本当に調子いいし。これとか最高だよ」
そう言いながら、ひらひらと俺にその写真を見せる。
その写真の中の俺は、机の上に組んだ腕と顎を乗せ、優しく微笑みかけていた。
『休日に彼女の家へご飯を食べに来た』という設定によくはまっていて、自分でも調子がいいな、なんて少し思った。
「少しずつそういう感覚がつかめてきたんだよ」
お茶で喉を潤した俺は、不服そうなマネージャーに告げる。
しかし、マネージャーはそんなことも聞いていないかのように、あ、と呟く。
「お気に入りのカフェで好きな子でも見つけた?」
「はっ…?!」
何も知らないはずのマネージャーから出たその言葉に、俺は不覚にも驚いてしまった。
その反応を見て、思いっきり口角を上げると、しめしめと言わんばかりの顔で俺をみる。
やってしまった、まだバレていなかったのに…。
そういう話が好きだからなぁ、絶対に根掘り葉掘り聞いてくるだろう。
そんなことを思いながら苦々しくマネージャーを見る。
「あ、図星だろ? なになに、可愛い子でもいた?」
マネージャーは立ち上がって俺のそばまで来ると、横に腰を下ろして肩を組んでくる。
俺はその手をなんとか払いのけようとしながら、
「なんでもないって言ってるから!」
と否定するが、それを信じてくれるはずがない。
マネージャーは更にニヤニヤ度を強くして、まとわりついてくる。
「照れなくっていいって〜。お亮のことだから、一目惚れとかして話しかけられず遠くから見てるだけなんじゃない?」
再び当たりを放ったマネージャーに、やっぱり驚きを隠せない俺は、そのまま黙り込んだ。
「え、俺当たり?」
「なんでばっちり当ててくんのさ…」
「伊達に長いことマネージャーやってないからね」
そう言って得意げな顔をするマネージャーの腕を払いのけつつ、俺は机の上に伏せた。
「でも…本当にどうしたら良いんだろ。ねぇ、どうしたらいいと思う?」
「何が?」
「その子のこと」
「そもそも何もわからないから何にもいいようがない! ほら、お兄さんに話してみなさい」
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mifulu(プロフ) - ほわさん» ご指摘ありがとうございます! バーコードって変ですね笑 これからもよろしくお願いします。 (2019年9月10日 9時) (レス) id: 8875a6e61c (このIDを非表示/違反報告)
ほわ(プロフ) - 誤字とかじゃないんですけど、最新話のバーコードはQRコードにした方が良いと思いますよ!続き楽しみにしてます!更新頑張ってください! (2019年9月10日 0時) (レス) id: d0efce02c1 (このIDを非表示/違反報告)
mifulu(プロフ) - 白うさぎさん» ありがとうございます! ゆっくりになるとは思いますが、楽しんでもらえるよう頑張ります。 (2019年7月21日 23時) (レス) id: 477f578196 (このIDを非表示/違反報告)
白うさぎ - とても面白くて、毎日楽しみにしています!更新頑張って下さい(*^^) (2019年7月21日 17時) (レス) id: 33733f1464 (このIDを非表示/違反報告)
mifulu(プロフ) - 華恋さん» 初めまして(*^^*) ありがとうございます! テストが近いのでゆっくりになるとは思いますが、期待に応えられるように頑張ります! (2019年6月30日 10時) (レス) id: 80a048a51f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:mifulu | 作成日時:2019年6月10日 0時