vingt-huit cafe ページ29
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名前を呼ばれ、ゆっくりと振り返った先には、マスクをした一人の男性がいた。
その姿は、私の中で一番馴染み深い姿で。
「…吉沢 亮さん？」
「はい」
そう言って、彼はマスクの奥で笑った。
彼は私の腕をさっと取ると、
「あ、ちょっとだけこっち来てもらえますか」
と、優しく引いて、一つ下の階段の踊り場まで連れてこられた。
私は、ぼうっとその後ろ姿を見ながら、黙ってついていく。
彼は立ち止まって私の方に向き直る。
すると、ハッと少しだけ顔を赤らめて私の手を離した。
「…手、すみません」
「い、いや、全然…」
舞台の時とは全然違う表情に、私も思わず顔が赤くなる。
そうして二人の間に、少し照れくさい空気が流れた。
「あ、の、来てくれたんですね！」
彼は、沈黙を打ち破り、はにかんだ笑みでそういった。
「はい。チケット、ありがとうございました。本当に素晴らしかったです」
「っ…ありがとうございます」
そう言って嬉しそうに笑うので、私も嬉しくなってつられて笑った。
「舞台を観に来るのが初めてだったのですが、想像以上の魅力に圧倒されてしまいました」
「舞台ってドラマとかよりもパワーがありますもんね」
「はい！ 役者さんの熱量や思いがダイレクトに伝わってきて、感動しました。もう一度見にこれるので、幸せです！」
そこまで言うと、吉沢亮さんが、耐えきれずにクスクスと笑いだした。
私はそれで我に返ってなんだか恥ずかしくなる。
「熱くなってしまってすみません…」
視線を落としつつ、苦笑いをしてそう呟く。
彼は、そういう訳じゃ…！と少し焦ったように言った。
「…そうやって反応頂けるの本当に嬉しいですし、何より楽しそうに話すのが可愛いなって…」
と、最後の方は声を小さくしながら、恥ずかしさを含んだ表情で言う。
私も、最後のフレーズに思わず照れてしまって、再び赤色の照れ臭い空気が流れた。
そんな沈黙にも耐えきれなくて、そろそろ私…と言いかけた時、
「っあの！ 連絡先、教えて貰えませんか！」
と、さっきよりも数段階大きい声で言った。
階段に少し反響して、私は突然のことに驚きを隠せなかった。
彼は、緊張で顔を強張らせて、ギュッと手を握りしめて私の返答を待っていた。
あれだけ舞台の上でかっこよかった人が、今私の前で緊張している姿が可愛く見えて、
「はい」
と、笑顔で返事をしたのだった。
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mifulu(プロフ) - ほわさん» ご指摘ありがとうございます！ バーコードって変ですね笑 これからもよろしくお願いします。 (2019年9月10日 9時) (
レス) id: 8875a6e61c (このIDを非表示/違反報告)
ほわ(プロフ) - 誤字とかじゃないんですけど、最新話のバーコードはQRコードにした方が良いと思いますよ！続き楽しみにしてます！更新頑張ってください！ (2019年9月10日 0時) (レス) id: d0efce02c1 (このIDを非表示/違反報告)
mifulu(プロフ) - 白うさぎさん» ありがとうございます！ ゆっくりになるとは思いますが、楽しんでもらえるよう頑張ります。 (2019年7月21日 23時) (レス) id: 477f578196 (このIDを非表示/違反報告)
白うさぎ - とても面白くて、毎日楽しみにしています！更新頑張って下さい(*^^) (2019年7月21日 17時) (レス) id: 33733f1464 (このIDを非表示/違反報告)
mifulu(プロフ) - 華恋さん» 初めまして(*^^*) ありがとうございます！ テストが近いのでゆっくりになるとは思いますが、期待に応えられるように頑張ります！ (2019年6月30日 10時) (レス) id: 80a048a51f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：mifulu | 作成日時：2019年6月10日 0時
