vingt-six cafe ページ27
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吉沢亮さんにチケットを頂いてから、二ヶ月後。
あれから吉沢亮さんはお店に来ていたらしいけど、タイミングが合わず、何事もなく過ぎていた。
だから、余計に夢なんじゃないかと思ったが、チケットを見る度に現実なんだと思わされて。
結局、私は引換券で購入したチケットを手に、公演二日目の劇場へと足を踏み入れた。
そわそわして早く出てしまったせいか、それ程混雑はしていなかった。
なんだか…緊張する。
前から五列目の真ん中の席に座った私は、そんなふうに思った。
単純に座る席が思ったよりも、舞台と近かったということも。
初めて来た舞台の劇場という空気にも。
その全てに少し緊張して、でも、どんな風なのかがとても楽しみだった。
今、何時だろう。もうすぐかな。
そんな風に腕時計で何度も時間を確認しながら、開演を待つ。
徐々に周りの席も埋まっていき、ついに開演五分前のブザーが鳴った。
会場全体が、熱気と期待に包まれる。
そして、長く短い五分が経つと、もう一度ブザーが鳴ると共に暗くなり、幕が上がった。
…うわぁ。
そこからはもう、ただただ舞台から一つも目を離せず、息をすることさえ忘れていた。
目の前は舞台とセットと役者さんだということが分かっていたが、その歴史の中にいているような気分になった。
皆さん、キラキラと輝いていて、あっという間に終わってしまった感覚だった。
どうしよう、予想以上にとても素晴らしかった。
舞台が初めてだからかもしれないけど、言葉に出来ないくらい。
特に、吉沢亮さんがやっぱりかっこよかった。
勿論、主役の鈴木亮平さんもかっこよかったけど、よりキラキラと輝いて見えた。
あの時話した時ともテレビで見た時とも違う、彼の姿に、私は感動を覚えた。
パチパチと拍手をしながら、そんなことを考える。
少しの間拍手をしていれば、舞台袖から役者さんがもう一度出てきて、お辞儀をして手を振る。
その姿に、会場からは歓声が巻き起こった。
この舞台、見にこれて良かったなぁ。
そんな満足感に浸りながら、私は役者さんを左から見ていく。
そして、吉沢亮さんが私の目にうつった時、彼の目も私を捉えた気がした。
舞台と客席、その遠い距離感の中で、私たちは軽く見つめ合う。
彼は高揚感や達成感からか、頬はほんのりと赤く、目は少し潤んでいるように見えた。
彼は、にっこりと嬉しさを滲ませながら笑った。
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mifulu(プロフ) - ほわさん» ご指摘ありがとうございます! バーコードって変ですね笑 これからもよろしくお願いします。 (2019年9月10日 9時) (レス) id: 8875a6e61c (このIDを非表示/違反報告)
ほわ(プロフ) - 誤字とかじゃないんですけど、最新話のバーコードはQRコードにした方が良いと思いますよ!続き楽しみにしてます!更新頑張ってください! (2019年9月10日 0時) (レス) id: d0efce02c1 (このIDを非表示/違反報告)
mifulu(プロフ) - 白うさぎさん» ありがとうございます! ゆっくりになるとは思いますが、楽しんでもらえるよう頑張ります。 (2019年7月21日 23時) (レス) id: 477f578196 (このIDを非表示/違反報告)
白うさぎ - とても面白くて、毎日楽しみにしています!更新頑張って下さい(*^^) (2019年7月21日 17時) (レス) id: 33733f1464 (このIDを非表示/違反報告)
mifulu(プロフ) - 華恋さん» 初めまして(*^^*) ありがとうございます! テストが近いのでゆっくりになるとは思いますが、期待に応えられるように頑張ります! (2019年6月30日 10時) (レス) id: 80a048a51f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:mifulu | 作成日時:2019年6月10日 0時