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そのさんじゅうご ページ35

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あれから二週間後の八月末。

ジワジワと相変わらずの暑さの中、私たちは三度目の東京遠征で音駒高校に来ていた。


「流石にもう誰も、あれが東京タワー!?って騒がねぇな」


バスから降り、荷物を肩にかけて門の前の階段を登っていれば、頭上からそう声をかけられる。

照りつける太陽に逆らうように声のする方を見上げれば、門に寄りかかって私に笑いかける黒尾先輩がいた。


「もう東京も三度目ですから。流石に学びます」

「面白かったのになぁ」

「そんなポーズで言うと、更に胡散臭さ増しますよ」


酷っ!なんて言いながらケタケタ楽しそうに笑う。


「んじゃあ、案内するからついてきて」


黒尾先輩は私の後ろを覗いて、部員がちょこちょこついてきていることを確認すると、私の横に並んでそう言った。


「久しぶり、Aちゃん。一ヶ月ぶり?」

「そうなりますね。全くそんな感じしませんが」

「まぁ、二週間に三回は電話してたもんなぁ」


何だかやけに嬉しそうな黒尾先輩を横目で見ていれば、横からドンッと衝撃がして、私は少しよろめいた。


「Aさん、久しぶり!!」

「久しぶりリエーフ」

「会いたかった〜!!」


まるで尻尾を振っているくらいの勢いでまくし立てるリエーフは、ギュッと私に抱きついた。


「ちょっ、オイ、リエーフ!!」

「リエーフ、離して。暑い!」


押しのけようとするが、力が強くて私の力では敵わない。

後ろから澤村先輩や菅原先輩が騒ぐ声が聞こえてくるが、リエーフは全く離す気配派ない。

ぐぐぐぐっと力づくで押していると、不意にパッと私にまとわりついていた腕が離れて、私はそのまま後ろにバランスを崩す。

そのままボスっと背後の人に背中から飛び込んでしまう。


「すみませ、」


そう言って離れようとすれば、後ろからお腹に手を回され、


「ハイ、もう終了」


なんて言いながら、声の主はぐいっと私を引き寄せた。

リエーフは少しだけムッとした顔で私の上を睨むが、リエーフの名を呼びながら駆けてきた夜久先輩に怯えるように、ビクッと姿勢をただす。


「ありがとうございます、助かりました。もう大丈夫なので離して下さい」


そう斜め後ろ上を振り返ったその時、ぐわっと勢い良く澤村先輩がひょっこり現れた。


「黒尾サン、そろそろ離れなさい」


ニッコリ笑う先輩に、黒尾先輩はパッと手を離す。


「悪ぃ悪ぃ、何もしてねぇって!」


そんなふうに言い合いをしながら、黒尾先輩は再び歩き出した。

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mifulu(プロフ) - るさん» コメントありがとうございます! そう言っていただけて嬉しいです。 (2020年4月18日 12時) (レス) id: ab7a8cd136 (このIDを非表示/違反報告)
mifulu(プロフ) - 星猫さん» コメントありがとうございます! ここではなんですので、良かったらボードなどで話しかけて下さると嬉しいです。 (2020年4月18日 12時) (レス) id: ab7a8cd136 (このIDを非表示/違反報告)
- すごく面白いです、早く続きが読みたくなります (2020年4月18日 9時) (レス) id: 3219097ab0 (このIDを非表示/違反報告)
星猫 - 知ってるアニメは何ですか? (2020年4月13日 18時) (レス) id: e8084d140d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:mifulu | 作成日時:2020年4月6日 20時

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