そのじゅうろく ページ16
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お邪魔します、とは言ったものの特になにかがある訳でもない。
私を引き止めたリエーフは黒尾先輩とひたすらレシーブ練をしているし、残りの三人はスパイクとブロックの練習をしている。
散乱しているタオルやらコップやらを綺麗に揃えるのだってものの数分で終わってしまうし、そもそも初心者の私に出来ることは少ないのだ。
…かといって、ただぼーっと壁のそばで立ってるのもアレだし…。
そう思った私は、梟谷のセッターさんの元へと駆け寄る。
「あの…ボール出しやりましょうか？」
「あぁ…じゃあ、お願いします」
全く変わらない表情の彼からボールを貰い、影山に出す時と同じような場所に立つ。
「高めですか？ 低めですか？」
「どっちでも大丈夫です」
「分かりました」
それだけ言葉を交わし、私はぽーんとボールを投げる。
高くもなく低くもなく、弓なりにセッターさんの丁度上に落ちていくボール。
それを何のブレもなく、綺麗にトスすれば、バシッとエースさんがボールを仕留め、月島の腕にバシンッと当たる。
…試合の時も思ったけど、凄いパワー。
確か…全国の五本指に入るエースだっけ。
初めて見ただけでも分かるその存在感に、私は思わず息を飲んだ。
それから何回かボールをあげて打つを繰り返していると、
「じゃあ、二枚でどーだ」
と、黒尾先輩は月島の後ろに立ってニヤリと笑う。
ちらりとその後ろを覗いてみれば、意気込んでいたリエーフは屍になっている。
「二枚ブロック上等ォ！」
得意気に笑うエースさんを他所に、黒尾先輩は何やら月島に話しかけている。
私は、いきまーす、と声をかけてボールを投げた。
また綺麗に上がるトスを、エースさんが強く踏み切って捉えようとする。
ストレートにしっかりつくブロック二枚。
…これはクロスに打つのが良いかも。
そう思った私を嘲笑うかのように、黒尾先輩は獲物を捕らえる目でニタリと笑うと、即座に手の位置を変え、バァンと凄いパワーのスパイクを止めた。
っ…うわぁ。
時がスローモーションになったような感覚。
ダンッとボールが床に落ち、ニヤニヤと意地悪な笑みを浮かべた黒尾先輩の顔から目が離せない。
これは、あの時の感覚と似ている。
初めて、影山と日向の速攻を見た、あの時と。
凄い、すごい。
高校生って…バレーボールって、本当にすごい。
目の前で繰り広げられたほんの数秒の小さな戦いに、私はひとり、武者震いを覚えた。
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mifulu(プロフ) - るさん» コメントありがとうございます！ そう言っていただけて嬉しいです。 (2020年4月18日 12時) (
レス) id: ab7a8cd136 (このIDを非表示/違反報告)
mifulu(プロフ) - 星猫さん» コメントありがとうございます！ ここではなんですので、良かったらボードなどで話しかけて下さると嬉しいです。 (2020年4月18日 12時) (レス) id: ab7a8cd136 (このIDを非表示/違反報告)
る - すごく面白いです、早く続きが読みたくなります (2020年4月18日 9時) (レス) id: 3219097ab0 (このIDを非表示/違反報告)
星猫 - 知ってるアニメは何ですか？ (2020年4月13日 18時) (レス) id: e8084d140d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：mifulu | 作成日時：2020年4月6日 20時
