そのいち ページ1
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高校三年のＧＷ最終日。
華の十七歳である俺は、友達や彼女と遊ぶでもなく、受験勉強に励むでもなく、宮城のとある体育館にいた。
愛する我が家とは遠く離れた宮城の地で、自分が主将を務める男子バレーボール部の合宿に励んでいる。
…いや、まあ彼女もいねぇし、バレーは好きだし、いいんだけどネ。
なんて考えながら、部員を連れ、体育館の前へと並ばせる。
「おい、さっさと並べー」
マネージャーがどうだのああだの言っている奴らを横目で見ていれば、正面からダダダダッという足音が聞こえてくる。
音とともにずらりと並んだ黒いジャージ達は、俺の真正面に立っている主将の掛け声で、びしっと姿勢をただした。
それにならうようにうちの部員も姿勢をただす。
それぞれに互いの顔を見合えば、試合前特有のピリッとした空気が流れる。
「お願いしアス！！！」
「しアーース！！！」
雲の少ない青い空に、そんな大声が響く。
そのまま体育館の中へ入ろうかと階段を数段登ったが、何となく足を止め、辺りを見渡した。
ふと、変な顔をしている山本の姿が目に入る。
その視線の先を辿って見れば、そこには対戦相手である烏野のマネージャーがいた。
肩よりも少しだけ長めな紺色の髪を下ろし眼鏡を掛けており、黒いジャージと地味めな格好をしているが、それが逆に美人さを引き立たせている。
…これはなかなか美人さん。
そんなふうに見ていれば、
「潔子先輩！ さっきハンカチ落とされてましたよ！」
と、美人マネさんの横にいた強面の監督の後ろから、ひょっこりともう一人のマネージャーが姿を表した。
焦げ茶色の髪の毛で、顎下くらいまでの長さの前髪を全て左側に流し、余りを全て後ろでひとつにまとめている。
美人マネよりも少しだけ背の高く、スラリとした手足が黒いジャージにも映えて見える。
可愛いというよりは綺麗めな印象の顔立ち。
うん、いや…だいぶ可愛いっていうか、ちょっとタイプかも。
なんて練習試合には似つかわしくないことを考えながら見つめていれば、彼女はすれ違う音駒のバレー部に挨拶をしていて、勝手に俺の中での株が上がる。
いつの間にか彼女たちは俺のそばまで来ていて、
「おはようございます」
と、笑って会釈する。
「あー、おはよう」
そう笑って返した挨拶に、彼女はもうひとつにこりと笑って俺の前を通り過ぎていく。
俺はぼんやりとその後ろ姿を見つめた。
＿＿それが、俺と彼女の初めての出会いだ。
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mifulu(プロフ) - るさん» コメントありがとうございます！ そう言っていただけて嬉しいです。 (2020年4月18日 12時) (
レス) id: ab7a8cd136 (このIDを非表示/違反報告)
mifulu(プロフ) - 星猫さん» コメントありがとうございます！ ここではなんですので、良かったらボードなどで話しかけて下さると嬉しいです。 (2020年4月18日 12時) (レス) id: ab7a8cd136 (このIDを非表示/違反報告)
る - すごく面白いです、早く続きが読みたくなります (2020年4月18日 9時) (レス) id: 3219097ab0 (このIDを非表示/違反報告)
星猫 - 知ってるアニメは何ですか？ (2020年4月13日 18時) (レス) id: e8084d140d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：mifulu | 作成日時：2020年4月6日 20時
