好きで、ごめんね 2

気持ちの変化 6 ページ7

山畑side

僕はいつもの帰り道をぼーっとしながら歩いていた。

大「山畑じゃ……ない……」

その言葉が、何回も頭の中で繰り返される。そして、繰り返されるたび胸が痛む。それなら思い出さなければいいのに。でも、どうしても鮮明に思い返してしまう。

山「バカじゃん………」

そっと呟いた。もう日はほとんど暮れかけていて、辺りは暗くなり始めていた。結果はわかっていた。それでも、やっぱりどこかで期待していて。勘違いかもしれないけど、合奏中や授業中、目が会うことが多かった気がするのは？ 恥ずかしながら渡してくれたバレンタインのチョコは？ちょっとだけだけど聞こえてたよ、渡すのをためらっていた会話。あれは、全部全部、僕の勘違い？

山「ただいま………」
母「おかえり〜！」

いつの間にか家についていた。僕はすぐさま自分の部屋へと向かい、制服のままベッドに倒れこんだ。ああ……ダメだ。涙が溢れてくる。ダメだとわかっているのに、止まらない。

山「ふっ……………うっ………」

僕は顔を枕に押し付け、声を殺して泣いた。お母さんが、晩ご飯だと呼びに来るまで。

_______________________________________________________
貴女side

今日、山畑は体調不良で部活を休んでいた。大丈夫かな……？

佑「A？」
貴「ん？」
佑「どうした？ なんかずっと黙って」
貴「へ？ 別に何もないよ？」
佑「あ、そうか、そうかww」

佑生はこちらをニヤニヤと見ている。私は不思議に思い、

貴「ん？ 何が？」

と聞いてみた。すると、佑生はニヤニヤを崩さず言った。

佑「山が休みで心配してるんでしょ？」
貴「って、はあ？ ありえん」

図星だ。でも、そんなこと言ったら絶対またからかってくる……！だから、必死に否定した。

貴「絶対ありえんねぇ」
佑「図星ねぇ」
貴「違うねぇ」
佑「そうねぇ」
貴「違うねぇ」

それをひたすら続けている私たちは何なのだろう。すると、佑生が、

佑「でも、あれなら行ってきたら？ 教室でも、なんか、話してても上の空っていうか、聞いてないっていうか。でも、体調不良なら納得だけど」

と、言った。ほら、またズキンって胸が痛む。ダメなのに。最悪最低なのに。そんな風に、笑顔でしゃべられたら、辛いじゃん。

貴「行かないよ………。……ねぇ、山畑はさ、梨華か佑生か桃だと思う」

______________________________________

桃→クラパートの1年

嘘つき 1→←気持ちの変化 5

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す