思い出話 1 ページ24
貴女side 〜10年後〜
壁も、床も、天井も真っ白な少し広めの部屋で、これまた真っ白な机の前の真っ白ないすに座っていた。横の開け放たれた窓から、春の心地よい風と、暖かい日差しがキラキラと差し込んでいた。ぼーっとしていると、不意に部屋の扉が開いた。
?「失礼します。おはようございます。今日、ヘアーを担当させていただきます、石田です」
扉からは、私と同年代ぐらいの女性が出てきた。明るい茶色の髪を一つにまとめ、化粧は濃くなくむしろ薄めの方だろう。私は椅子から立ち上がり、
貴「よろしくお願いします」
と頭を下げた。
石「では、今から始めますので、お座りください」
そう言いながら、彼女はスタスタと部屋の中を渡ると、クローゼットらしきところから、ヘアアレンジの一式をワゴンに乗せて取り出した。
石「本日はおめでとうございます」
彼女は私の髪をときながらそう言った。私は満面の笑みで、
貴「ありがとう」
と答えた。
石「そう言えば、先程拝見させていただきました。とても素敵な方ですね」
貴「ありがとう。でも、そう? もっとかっこいい人はいるでしょう?」
石「そうですかね? そうそういないと思いますよ」
貴「ふふ、ありがとう。貴女は、彼氏はいないの?」
石「いません、残念ながら」
と、いたずらっ子のように笑った。
貴「ええ! そんな綺麗なのに?」
石「いえ、そんな……」
貴「謙遜しなくても。とても綺麗だと思うよ、きっとすぐできるわよ。って、何様なんだか」
石「いえいえ、ありがとうございます」
そう言いながら、綺麗に笑った。
石「とても綺麗な髪ですね」
貴「ありがとう」
彼女は私の髪をいじり始める。
石「そう言えば!」
貴「うん?」
石「お二人の馴れ初めは何なんですか?」
貴「えっ!」
私はびっくりして、髪をまとめてもらっているのも忘れ、後ろを振り向いてしまった。
石「今日、担当している者全員が、素敵な馴れ初め……素敵な恋だと、口をそろえて言っていたんです」
貴「皆さんが……?」
石「はい。でも、私はそういうのにはあまり関わりませんので、なかなか聞けず……。ですので、今日、ご本人に伺おうと思いまして」
貴「いや…そんな、素敵だなんて…」
恥ずかしまぎれにそう言って自分の顔を見ると、予想通り、ほんのり顔が赤くなっている。それでも、石田さんは目をキラキラさせて、私に聞いてくる。
貴「…長くなりますけど、いいですか?」
石「はい」
そう言って力強く頷いた。
1人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
mifulu(プロフ) - 皆さん、すみません…。ギリギリまで描ききって無いですが、新しいのを作らせていただきます。また後ほどここにお知らせを載せますので、少々お待ちください…。本当にすみません… (2016年8月26日 22時) (レス) id: 5b4cd55ff2 (このIDを非表示/違反報告)
ラベンダー畑(プロフ) - 随分 時間飛びましたね! 勿論 気になるのは 相手は 誰?ですよね 相思相愛だった主人公と山畑 ですよね! まさかと思いますけどあの1シリーズに出てきたモブキャラの男の子とかないですよね 主人公と山畑今度こそ幸せになってね 山畑君は気が多かったし お幸せにね (2016年6月29日 18時) (レス) id: 30de297729 (このIDを非表示/違反報告)
mifulu(プロフ) - ありがとうございます。確かに書きながら少しいらっときました……ww (2016年6月27日 23時) (レス) id: 29f4278fd3 (このIDを非表示/違反報告)
ラベンダー畑(プロフ) - 追記 なって 主人公の気持ち知ってたのに この人違う人好きでしたよね 主人公にとって一番慰めてもらいたくなくてずーと幸せだった人に 分かるの? 主人公気を抜かないで 佑生油断ならないからね 主人公 ツラい思いした分 報われて欲しいです♪ (2016年6月26日 14時) (レス) id: 30de297729 (このIDを非表示/違反報告)
ラベンダー畑(プロフ) - 主人公 いい子ちゃんすぎるよ泣 私は意地悪だから もしかしたら告白受けるかもと 心配して待ち伏せしてたんじゃないの?私が腑に落ちないのは主人公が手紙を書いたら 同じ時に佑生も告白した事です 多分主人公が告白する事予想してたんでしょうね 先回りし 奪って幸せに (2016年6月26日 14時) (レス) id: 30de297729 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:mifulu | 作成日時:2016年2月7日 22時