好きも嘘も 2 ページ22
山畑side
誰もいない廊下。そこに僕は佇んでいる。朝、リュック置き場にメモが入っていた。なので、定演終わりの今、僕はここにいるのだ。
たっ…たっ…
階段から誰かが降りてくる音がする。その人物はすっと壁から顔を出した。
山「…!」
貴「……山畑……」
森川は小さな声で僕の名を呼んだ。返事をしようとすると、森川が話し出した。
貴「急に…ごめんね……?定演も終わって、疲れてるのに」
と申し訳なさそうな顔を浮かべる。
山「大丈夫だよ」
僕がそういうと、彼女は優しい笑みを浮かべた。
貴「ありがとう。実は、伝えたい事があって……こんな時に言うのもあれだと思ったんだけど……」
そこまで言うと彼女は、顔をそっとそらしながらこう言った。
貴「好き…」
山「っ……!」
僕は言葉を失った。
貴「本当、ごめんね…? 何もわきまえずに。でも、伝えたかったの。早く切り替えたかったから。それに、一緒に伝えたいこともあって……!」
僕はただ何も言えず、彼女が言葉を絞り出すのを、ただじっと見つめた。彼女はそんな僕の目をみると悲しそうに笑った。
貴「好き。けど、2人を引き離そうだなんて思ってないし、佑生との関係を拗らせようとも思ってない。それに………」
そこまで一息でいうと、深く息を吸った。そして、
貴「誰よりも2人に、幸せになって欲しいと思ってる」
そう言った。僕は金縛りのようにあった体を動かし、彼女と向き直った。そして、思ったことを言った。
山「まず、ありがとう。こんな僕を好きになってくれて。でも、やっぱり……森川の……気持ちには答えられない。ごめん……。けど、好きって言ってくれて嬉しかった」
その間、彼女は僕の目を見ながら、頷いていた。
貴「……ありがとう…。答えをくれて」
山「こちらこそ……答えられなくて、ごめん」
貴「ううん、いいの。わかってたことだから」
そう言いながら、彼女は後ろを向いた。歩き出すのだろうか……そう考えていると、いきなりこちらへ向き直った。
貴「ゅぅ……」
山「……?」
貴「佑生を……泣かせたり、悲しませたりしたら……許さないから! たとえ山畑がどこにいようと、私がお前を……フルボッコにしてやるから!!」
彼女は目に涙を浮かべ、いつもの笑みを僕に向けてそう放った。僕は、笑みを返して、
山「安心して! 絶対に…絶対に、悲しませたりなんてしないから!」
貴「うん!」
涙を見た時抱きしめたくなったのは、僕だけの秘密だ。
1人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
mifulu(プロフ) - 皆さん、すみません…。ギリギリまで描ききって無いですが、新しいのを作らせていただきます。また後ほどここにお知らせを載せますので、少々お待ちください…。本当にすみません… (2016年8月26日 22時) (レス) id: 5b4cd55ff2 (このIDを非表示/違反報告)
ラベンダー畑(プロフ) - 随分 時間飛びましたね! 勿論 気になるのは 相手は 誰?ですよね 相思相愛だった主人公と山畑 ですよね! まさかと思いますけどあの1シリーズに出てきたモブキャラの男の子とかないですよね 主人公と山畑今度こそ幸せになってね 山畑君は気が多かったし お幸せにね (2016年6月29日 18時) (レス) id: 30de297729 (このIDを非表示/違反報告)
mifulu(プロフ) - ありがとうございます。確かに書きながら少しいらっときました……ww (2016年6月27日 23時) (レス) id: 29f4278fd3 (このIDを非表示/違反報告)
ラベンダー畑(プロフ) - 追記 なって 主人公の気持ち知ってたのに この人違う人好きでしたよね 主人公にとって一番慰めてもらいたくなくてずーと幸せだった人に 分かるの? 主人公気を抜かないで 佑生油断ならないからね 主人公 ツラい思いした分 報われて欲しいです♪ (2016年6月26日 14時) (レス) id: 30de297729 (このIDを非表示/違反報告)
ラベンダー畑(プロフ) - 主人公 いい子ちゃんすぎるよ泣 私は意地悪だから もしかしたら告白受けるかもと 心配して待ち伏せしてたんじゃないの?私が腑に落ちないのは主人公が手紙を書いたら 同じ時に佑生も告白した事です 多分主人公が告白する事予想してたんでしょうね 先回りし 奪って幸せに (2016年6月26日 14時) (レス) id: 30de297729 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:mifulu | 作成日時:2016年2月7日 22時